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尾灯 (びとう)とは、自動車・鉄道車両・自転車・船舶といった乗り物の後部にあるライトのことである。テールライト (tail light) もしくはテールランプ とも言う。
目次
1 自動車
1.1 機能
1.2 構成部品
1.3 法令
1.3.1 日本
1.3.2 欧州
1.3.3 米国
1.4 近年のLED化について
2 自転車
3 鉄道車両
4 航空機
5 船舶
6 脚注
7 関連項目
自動車
ホンダ・オデッセイのテールライト(画像はライト点灯時)
機能
自動車の尾灯は、通常テールランプと呼ばれる。テールランプは、夜間や悪天候時などに後ろを走る車に前に車が走っていることを知らせるためのもので灯火類の一種。テールランプの点灯は、ヘッドライトと連動することが義務づけられている。
ブレーキランプ(ストップランプ)と兼用の場合には、ブレーキをかけたときにより明るく(5倍の光量)点灯する。テールランプには、コーナーキューブを用いた反射板(リフレクター)が組み込まれており、後方車両のヘッドライトに照らされると光を反射して赤く光り、夜間の駐停車時など点灯していないときにも注意を促す役割を果たす。トヨタ自動車やメルセデス・ベンツなどの一部車種では、急ブレーキ時に自動的にブレーキランプを点滅させ、後続車に注意を促す機構を備えているものがある[1] 。
構成部品
点灯のための光源、電球を覆うカバー部(テールライトカバー)などで構成される。光源は通常、電球やLEDが使われる。電球は「バルブ」とも呼ばれる。日本では「バルブ」を「光源」の意味ととらえて「LEDバルブ」と表現されることがあるがLEDは厳密な意味ではバルブではない。カバーは通常ABS樹脂などのプラスチックで成形され、自動車の外装デザインの一部となる。カバー部はブレーキランプやバックランプ、方向指示器などと一体化したリヤコンビネーションランプとなっていることも多い。
法令
日本
日本の法令では、道路運送車両法に基づく保安基準により「後面の2か所に赤色の灯火をつけること」と決められている。2灯を両側に配置する場合には、車体中心より対称の位置とする必要がある。また二輪の自動車においては、尾灯を1灯とすることができる。明るさは光源(電球)が5W以上30W以下(2008年10月15日に改正。これ以前は上限のワット数指定がなかった)で、夜間300m離れた位置から視認できる照度であり、その照射光線は、他の交通の妨げないものであることとなっている。なおLEDについては道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2008.10.15】 別添64 尾灯の技術基準 (PDF) を参照。
従来、赤いテールライトカバーのみ許可されていたが、赤以外であっても、発光時に赤色の光を発生させることができれば適法となった。そのため、自動車のドレスアップとしてクリアテール と呼ばれる無色あるいは白色のテールライトカバーや、レンズのみ着色されているユーロテールに変更することが可能となった。当初、アフターマーケットのみであったが、自動車メーカーや自動車ディーラーでこれをオプションとして用意している場合がある。テールレンズが劣化して色が抜け、灯火の色がオレンジやピンクになると保安基準違反となる。ブレーキランプを停車時に点滅するような改造をした場合も同様に検挙の対象になる。
テールランプとは別に、テール部分には赤色の反射板を装備することが義務付けられている。この反射板は、通常、テールランプカバー(またはリヤコンビネーションランプのカバー)に一体成形されている。クリアテールへの交換で反射板が無色(白色)になった場合は、赤色の反射板に交換しないと違法になる。
欧州
テールランプのほかに、欧州ではリアフォグランプの装着が義務付けられている。フォグランプの項目を参照。
米国
後部方向指示器とブレーキランプが兼用になったものが許可されており、北米生産車、さらに日本生産の北米仕様車の中にも兼用タイプの車種がある。
近年のLED化について
近年では、自動車や二輪車などの市販車のテールランプおよびストップランプのLED照明化が進んでいる。これらのタイプには、テールランプとストップランプを同じLEDで兼用するタイプと、テールランプとストップランプを別のLEDを使用するタイプとある。またトラックなどではディーラーオプションとしてのラインナップもある。中には車両のマイナーチェンジ時に照明部分だけLED化されたリヤコンビネーションランプの部品一式を購入し、マイナーチェンジ前の車両と交換するユーザーも少なくない。
実用的に優れたLEDだが、ファッション的な要素を求める傾向もあり、さらにアフターマーケットでは、LED化されたリヤコンビネーションランプなど手軽に交換できる電球型LEDが相次いで発売されている。しかし、それらの中には保安基準を満たしていないものもあり、車検非対応のものもあるので注意が必要である。なおディーラーでは「純正ではない」を理由に、車検時に純正品に戻す所もある。
他にも電気知識を持つ車両ユーザーや業者による自作品も多く、これらの自作品については、「ファッション重視」か、「車検対応で省エネ重視」かで大きく分かれているところがある。「ファッション重視」の場合は電子パーツを使用してマークの造型や点滅などのアクションをさせようとするもので、「車検対応で省エネ重視」の場合は白熱球より大幅に消費電力が減少することから電気系統の慢性的な電力不足を解消させようとするものであり、旧型車やオートバイのユーザーが行うことが多い。
なお近年製造された車両には灯火類と各種制御装置が連携しているものがあり、LEDに交換すると消費電力の変化により制御装置が正常に動作せず不具合が発生するとして、一部メーカーでは注意を呼びかけている[2] 。
自転車
「コーナーキューブ」も参照
日本においてシティサイクルなどの一般用自転車では、尾灯が取り付けられることは少ない。自転車には交通法規により赤色の反射器材か尾灯のいずれかをつければよいことになっており、一般用自転車は日本工業規格 (JIS) により反射器材であるリフレクタが装着され販売される。近年は一般用自転車には、暗くなると自動で点滅するLEDが内蔵されたリフレクタが取り付けられていることがある。
自転車用の自光式の尾灯は、ロードバイクなどのスポーツ自転車の愛好者を中心に、電池によるLEDのものが普及している。なお長距離耐久サイクリングであるブルベでは、参加に当たって自光式・不動光型の尾灯を取り付けることが決められている(点滅型は補助使用以外認められない)。
鉄道車両
鉄道においては、後続車両等に存在を示すために使われる。法律的には鉄道標識のうち後部標識 という扱いであり、最後部車両の後面に赤色灯、または赤色反射板を1個または2個取り付ける。たいていの鉄道車両では、車両背面に赤いライトが2つ付けられており、光源にLEDを採用することもある。JR東日本の651系電車・E351系電車などでは先頭車正面に設けたLED式大型表示器(列車愛称などを表示)の一部に赤色の長円形を2個表示することで尾灯を兼ねている。
貨物列車や近年の客車ジョイフルトレインでは、最後尾となる車両に自ら発光するテールライトではなく、直径20センチ程度の円形の赤色反射板を取り付けて代用することが多い。JR東海では美観上の観点から旧型客車運転の際には反転式赤色円板に反射材を貼付けたものを使用していたこともある。一方で、降雪の多い東北・北陸方面やその地方と直通する列車などには、被視認性の観点からバッテリーを内蔵した可搬式の尾灯が2つ通年で取り付けられる。この可搬式尾灯はおのおのでスイッチが独立しているため、入換時に向かって左側を点灯、右側を消灯させることにより、入換灯として機能させることもできる。
一部の私鉄では、入換中の車両において尾灯と前照灯(前部標識灯)を同時に点灯させている。
なお大手私鉄では優等列車として運転する際、正面に「通過標識灯」と呼ばれる白色灯を点灯することがある。使用目的自体は尾灯と異なるが、形状が似ているため尾灯と兼用になっていたり、デザイン上一体化していることが多い。詳細は「通過標識灯」を参照。
路面電車
路面電車においては後続車両などに存在を示すほか、自動車や歩行者に制動中であることを知らせる設備でもある。
点灯方法は事業者や車両型式によってまちまちであり、大きく分けて自動車と同じく制動中は明るく光りそれ以外は減光するケース、後部標識灯と独立してブレーキランプが設けられるケースがある。後部標識灯と独立してブレーキランプが設けられるケースでは広島電鉄3900形電車のようにハイマウントストップランプのみがブレーキと連動する方法、熊本市交通局1200形電車のように後部標識灯が赤、ブレーキランプはオレンジと異なる色で点灯する方法などがある。
航空機
機体に取り付けられる航法灯(ナビゲーションライト。航空灯あるいは位置灯とも)のひとつで、機体最後部(一般には胴体か尾翼の端)に白色の灯火を設置することが義務づけられている(ICAOのAnnexを参照)。飛行中の他機から見て、自機の進行方向を表示する物。
船舶
海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約に基づき、日本国内(領海内)では海上衝突予防法により、夜間はできる限り船尾近くに水平範囲135度内に白色光を投光させる船尾灯を燈す事が義務付けられている。
脚注
^ メルセデスベンツ アダプティブヘッドライト
^ 市販LEDバルブ装着についての注意事項のご案内 - 三菱自動車工業
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、尾灯 に関連するカテゴリがあります。
自動車の電球の規格一覧
前照灯(ヘッドライト)
ユーロテール
ハイマウントストップランプ(補助制動灯)
方向指示器
自動車部品
エンジン
方式
レシプロエンジン | ガソリンエンジン(2st/4st) | ディーゼルエンジン (4st/2st)| ロータリーエンジン | 縦置きエンジン | 横置きエンジン | ハイブリッド (HV)/プラグインハイブリッド(PHV) | 電気自動車 (EV) | 燃料電池自動車(FC) | 水素自動車 | LPG自動車 | 天然ガス自動車 | ソーラーカー
内部構成部品
内燃機関 | カムシャフト | ガスケット(ヘッドガスケット) | コネクティングロッド | シリンダーブロック(シリンダー/シリンダーライナー)| コアプラグ | クランクケース | シリンダーヘッド | ヘッドカバー | ピストン | ピストンリング | ロッカーアーム(デスモドロミック) | タペット (ラッシュアジャスター) | クランクシャフト | タイミングチェーン | タイミングベルト | 浮動ブッシュ軸受 | すべり軸受(バビットメタル) | バルブ(ポペットバルブ/スリーブバルブ/ロータリーバルブ) | バランスシャフト | オイルポンプ | オイルパン(ウエットサンプ/ドライサンプ) | ウォーターポンプ | クランクケースブリーザー(PCVバルブ/内圧コントロールバルブ)
補機類
Vベルト/Vリブドベルト(ファンベルト) | 歯付ベルト | フライホイール | スロットル(アクセル) | エンジンコントロールユニット (ECU) | オルタネーター | ラジエーター(ファンクラッチ) | オイルクーラー | セルモーター | エンジンスターター | ワイヤーハーネス | 点火装置(マグネトー/ディストリビューター/イグナイター/CDI/ダイレクトイグニッション/点火コイル/プラグコード) | 点火プラグ(スパークプラグ) | キャブレター | 加速ポンプ | チョーク弁 | ティクラー | 燃料噴射装置(インジェクター) | エアフロメーター | 燃料タンク | 燃料ポンプ(噴射ポンプ) | オイルキャッチタンク
動力伝達装置
トランスミッション(ギヤボックス) | デュアルクラッチトランスミッション(DCT) | マニュアルトランスミッション(MT) | オートマチックトランスミッション(AT) | 無段変速機(CVT) | セミオートマチックトランスミッション(セミAT) | ノンシンクロトランスミッション | シーケンシャルマニュアルトランスミッション | フィンガーシフト | トルクコンバータ | プロペラシャフト | ドライブシャフト | クラッチ | 差動装置(デファレンシャルギア) | デフロック | ドライバーズコントロールセンターデフ | トランスアクスル | トランスファー | ビスカスカップリング | 遊星歯車機構 | 前輪駆動(FF) | 後輪駆動(FR) | ミッドシップ | リアエンジン | 四輪駆動(4WD/AWD) | ローンチコントロール | クリープ | トルクステア
吸排気系部品
エアクリーナー(エアエレメント) | フロントグリル | エアインテーク | インテークマニホールド | エキゾーストマニホールド(エキゾーストパイプ) | 過給機(ターボチャージャー、スーパーチャージャー) | ウェイストゲートバルブ | インタークーラー | ブローオフバルブ | サージタンク | ミスファイアリングシステム | 三元触媒 | 二次空気導入装置 | マフラー | DPF | 排気再循環 (EGR)
油脂類
エンジンオイル (4st/2st) | オイルエレメント(オイルフィルター)| ギアオイル | オートマチックトランスミッションフルード (ATF) | ブレーキフルード | パワーステアリングフルード (PSF) | オイルレベルゲージ | 蝋(カーワックス) | 燃料フィルター | Template:自動車用燃料
運転装置
ステアリング | パワーステアリング | ラック・アンド・ピニオン | ボール・ナット | ステアリングコラム | 四輪操舵 (4WS) | アクセルペダル | ドライブ・バイ・ワイヤ | ブレーキペダル | クラッチペダル | クラッチスタートシステム | シフトレバー(セレクトレバー) | シフトノブ | パーキングブレーキ(ハンドブレーキ) | ウインカー・スイッチ
足回り部品
緩衝装置
サスペンション | ショックアブソーバー | スタビライザー | ストラットタワーバー
制動装置
ブレーキ(油圧/空気/排気) | ディスクブレーキ | ブレーキブースター | ブレーキキャリパー | ブレーキパッド | ブレーキローター | ドラムブレーキ | ブレーキシュー | リターダ | ブレーキ・バイ・ワイヤ | 回生ブレーキ
車輪
タイヤ | スタッドレスタイヤ | ランフラットタイヤ | ビードロック | ホイール | スチールホイール | アルミホイール | マグネシウムホイール | ホイールアーチ | ハブ | フリーホイールハブ | ハブリダクション
計器・センサー部品
速度計(スピードメーター) | タコメーター | オドメーター | トリップメーター | デジタルメーター | 自発光式メーター | 燃料計 | 水温計 | 油温計 | 油圧計 | 排気温度計 | 空燃比計 | 電圧計 | 電流計 | ブースト計 | 負圧計(吸気圧力計) | スピードリミッター | エアフロメーター | 速度警告音 | 速度表示灯
車内の部位・部品
ダッシュボード(インストルメント・パネル、フェイシア) | センターコンソール | サンバイザー | シート | トランク | シガーライター
照明・灯火装置関連
カーテシーランプ | ルームランプ | 前照灯(ヘッドライト) | リトラクタブル・ヘッドライト | ポップアップ式ヘッドランプ | アダプティブ・フロントライティングシステム(AFS) | ハロゲンランプ | ディスチャージヘッドランプ | 霧灯(フォグランプ) | 尾灯(テールランプ・ブレーキランプ) | ハイマウントストップランプ | 方向指示器 | オートライト
車外の部位・部品
エアロパーツ | バンパー | フェンダー | ボンネット | パワーバルジ | フロントグリル | フードクレストマーク | フェンダーポール | エンブレム/オーナメント | ルーフレール | サンルーフ | 三角窓 | パワーウインドウ | スライドドア | 電動式リアテールゲート | パワーゲート | ポンツーン | ナンバープレート | 鉛蓄電池(カーバッテリー)
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