水処理
水処理(みずしょり、英語:water treatment)とは、水を使用目的にあわせた水質にするための、または、周辺環境に影響を与えないよう排出するための各種の処理。
目次
1 概説
2 水処理の方法
3 処理後の分析技術
4 主な水処理技術メーカー
5 脚注
6 関連項目
7 外部リンク
概説
地球上の水の総量は約14億km3で、海水が97.5%、淡水は2.5%である[1]。継続的に利用できる淡水の水量はさらに少なく約10万km3に過ぎず、淡水は地域的にも偏って存在している[1]。水不足への対策としては、需要面では節水(及び節水技術)があるが、供給面では下排水の再利用や海水の淡水化などの水処理技術が挙げられる[1]。
水処理技術は次のような用途に用いられる。
海水の淡水化 :海水から塩分を除去し、淡水(真水)を得る。
食品製造 :微生物や有毒物質に汚染されていない水を得る。
半導体素子製造 :洗浄用に不純物のほとんどない超純水が必要である。
ボイラー給水 :スケールによる熱交換効率の低下や腐食を防ぐため、イオン交換・薬品添加が行われる。
冷却塔 :スライムによる熱交換効率の低下やレジオネラ菌による感染症を防ぐため、薬剤添加が行われる。
水処理の方法
水処理の方法は、物理化学的処理(汚濁物質の大きさ・比重・化学的特性で分離)と生物的処理(微生物の吸収・分解作用を利用)に大別される[1]。水処理施設では各種の技術を組合せた処理プロセスが構築されている[1]。
- 物理化学的処理
- 沈殿分離
- 浮上分離
濾過
- 砂濾過
- 急速濾過
- 緩速濾過
- 砂濾過
- 脱水濾過
膜分離 : 膜によりより細かな物質を除去する。
- 逆浸透膜
- 限外濾過膜
- 精密濾過膜
- イオン交換
- 陰イオン交換樹脂
- 陽イオン交換樹脂
- キレート樹脂
- 陰イオン交換樹脂
- 物理吸着
- 活性炭
- ストリッピング :揮発性有害物質を気体を吹き込むことにより気体側に分離する。
酸化・消毒
- 塩素
オゾン :オゾンを吹き込み有機物を分解する。
紫外線照射
- 電気透析・電気分解
- 生物化学的処理
活性汚泥法
生物膜濾過
- 嫌気処理法
処理後の分析技術
適切な水質に処理されているか確認するため、各種分析が必要である。
- 流量
- 温度
- 濁度
- 浮遊物質
イオン濃度
- 水素イオン
- 塩化物イオン
- 導電率
- 硬度
- 一時硬度
- 永久硬度
有機物
- 化学的酸素要求量
- 生物化学的酸素要求量
有害有機化合物
- 低分子有機塩素化合物
テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、
有機リン化合物
ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニル
重金属類
カドミウム、鉛、6価クロム、水銀、セレン
シアン化合物、ヒ素
主な水処理技術メーカー
旭化成 :上水道や下水処理などに使われる水処理膜分野で、世界シェアの約20%、アメリカ合衆国におけるシェアの約50%を占める(2012年時点)[2]。
三菱レイヨン :上水道や下水処理などに使われる水処理膜分野で、中国など海外へ進出・拡大(2012年時点)[2]。
クボタ :上水道や下水処理などに使われる水処理膜分野で、中国など海外へ進出・拡大(2012年時点)[2]。
東レ :海水淡水化に使う水処理膜分野で、世界に高いシェアを誇る(2012年時点)[2]。
日東電工 :海水淡水化に使う水処理膜分野で、世界に高いシェアを誇る(2012年時点)[2]。
アクアス、日立造船、荏原製作所、オルガノ、壽化工機、栗田工業、ササクラ、三機工業、タクマ、中外炉工業、月島機械、TFC、トーケミ、西原環境テクノロジー、日鉄住金環境、日本原料、前澤工業、メタウォーター、ユニチカ、リンカイ
サムスングループ :2012年9月13日、水処理膜分野への参入を発表[2]。
脚注
- ^ abcde水需要の拡大に伴い増加する膜市場 岡本大典 富国生命投資顧問、2017年2月12日閲覧。
- ^ abcdef“サムスン 水処理ビジネス参入へ”. NHK NEWS WEB. NHK (2012年9月13日). 2012年9月13日閲覧。
関連項目
水質汚濁、地下水汚染
- 河川
- 井戸
- 純水
- 日本の法規
- 水道法
- 下水道法
- 水質汚濁防止法
- 土壌汚染対策法
- 公害防止事業費事業者負担法
東京都公害防止条例など(汚水を公共用水域に排出するもの)
外部リンク
“平成23年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 水処理膜 (pdf)”. 特許庁 (2012年4月). 2012年9月13日閲覧。
水の開拓者 - 『科学映像館』より。1966年に栗田工業が企画し制作された広報映画。当時の水事情と水処理技術を紹介している