コンパクトディスク
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コンパクトディスク Compact Disc, CD | |
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コンパクトディスク | |
メディアの種類 | 光ディスク |
記録容量 | 12cmディスク 640MiB・700MiB・800MiB 8cmディスク 155MB・185MB・210MB・300MB |
読み込み速度 | 1.2Mbps (1411.2kbps、1倍速) 最高72倍速 |
読み取り方法 | 780nm 近赤外線レーザー |
策定 | フィリップス、ソニー |
主な用途 | 音声、映像、データ(ゲームソフトを含む) |
ディスクの直径 | 12cm、8cm |
大きさ | 120×120×1.2mm (12cmCD) 80×80×1.2mm (8cmCD) |
上位規格 | スーパーオーディオCD (SACD) DVDオーディオ DVD |
関連規格 | CD-DA CD-V CD-ROM CD-R CD-RW Video CD DDCD |
コンパクトディスク(Compact Disc、CD(シーディー))とはデジタル情報を記録するためのメディアである。光ディスク規格の一つでレコードに代わり音楽を記録するため、ソニーとフィリップスが共同開発した。現在ではコンピュータ用のデータなど、派生規格の普及により音楽以外のデジタル情報収録(画像や動画など)にも用いられる。音楽CDについてはCD-DAも参照。
目次
1 概要
2 主な構造
2.1 形状
2.2 タイトル曲・カップリング曲
3 容量
3.1 最大収録時間
3.2 転送速度
4 マルチメディア媒体
5 寿命
5.1 反射膜
5.2 色素
5.3 基板
6 規格
6.1 関連規格
7 歴史
7.1 名称と寸法のルーツ
7.2 年表
8 脚注
9 関連項目
10 参考文献
11 外部リンク
概要
コンパクトディスクの外見は直径12cmまたは8cm、厚さ1.2mmの円盤状でプラスチックで作られている。プラスチックの材質は一般的なものはポリカーボネートで、ほかにAPO(非晶質ポリオレフィン)やガラスを使用したものもある。
読み取りには780nmの赤外線レーザーが用いられ、照射したレーザー光の反射を読み取る。レーザー光を反射させるためコンパクトディスクは、鏡のような役割を持ち、レーザー光を反射する厚さ約80nmのアルミニウム蒸着膜と厚さ約10μmの保護層、レーベルなどの印字膜の複数の層を重ねた構造になっている。
ディスクには細かいくぼみが彫られており、このパターンによってデジタル情報を表現している。このくぼみ(読み取り面から見れば出っ張りになる)をピットといい、ピットのない部分をランドという。ランドの部分に当ったレーザー光は反射してそのまま戻ってくるが、ピットがある部分に当ったレーザー光はランドからの反射波と1/2波長の位相差をもつため干渉して打ち消しあい暗くなる。
この明暗によりデジタル信号を読み取り、これをアナログ信号に戻して音声として出力する。ピットの幅は0.5μmで長さは0.83μmから0.3μm単位で3.56μmまで9種類、ピットから次のピットまでの距離も同じ9種類である。またピットの列をトラックというが、このトラックは1.6μm間隔で、内側から外側に向かって渦巻状に並んでいる。
CDの虹色のような光沢は、この規則正しく並んだトラックで回折した光が、干渉することによる構造色である。
データをピット列として記録するにはEFM (eight-to-fourteen modulation) という変調方式が用いられる。また誤り訂正はCIRC (cross-interleaved reed-solomon code) による。短いバーストエラーからの誤り訂正を行う符号として「リード・ソロモン符号」を提案したのは、フィリップスのCD開発チーム責任者である。
コンピュータのデータ保管等、1bitの誤りも許されない用途には追加の誤り検出、訂正が行われている。
音楽用途の場合、規格上デジタルのPCM形式で最大79分58秒、99トラックの音楽が記録でき、また1トラック中には99インデックス(位置決め標識)を設けることができる(2000年頃までのプレーヤーは、インデックスサーチできるものが多数存在した)。
現在でも、インデックスが記録されているディスクは多数存在する(特にクラシック)がサーチが出来るCDプレーヤーが殆ど無くなってしまったので、インデックスが記録されたディスクを持っているユーザーは、不便を感じているようである。
記録層にアルミニウムのかわりに金を使用したものもあり、「ゴールドディスク」と呼ばれる。
近年は、インターネットによる音楽配信やストリーミング配信が増えてきている事もあり、次世代オーディオメディアへの置き換えは進んでいない。SACDやDVDオーディオが登場したが、音楽供給媒体としては依然としてCDが主流である。
主な構造
上から印刷層、保護層、反射・記録層、樹脂層で記録層の部分は印刷面から10μm (0.01mm)、樹脂層から約1.2mmの所にある。そのため、印刷面からの衝撃に弱く鉛筆やボールペン等、フェルト以外の油性マーカーで記入を行うと記録層にダメージが加わり音飛びなどの症状が出ることもある。最悪の場合読み込めなくなる可能性も考えられる。印刷層側に深い傷が入ったり湿度の高い場所に放置すると、記録層をのぞき反射層までがはがれることがある。ちなみにDVDの記録層は印刷面からも樹脂層からも0.6mm、Blu-ray Discでは印刷面から1.1mm、樹脂層から0.1mmである。レーベルのデザインによるが、2012年現在では反射層と印刷層が穴の部分まで拡大されたものが主流となっている。
形状
一般に販売されているCDのほとんどは円形だが、商用音楽CDなど記録済みCDの一部には円形でないCDが存在する(ドリームキャスト版『GUILTY GEAR X』特典CD等)。
タイトル曲・カップリング曲
レコードでは表をA面・裏をB面と呼んでいたが、CDには1面しかないのでポピュラー音楽のCDシングルなどの場合はレコードでのA面曲に相当するものを「タイトル曲」、B面曲に相当するものを「カップリング曲」などと呼び分けている。後者は「… をカップリングしている」を意味する英語の「coupling with …」を短縮した「c/w」と表記されることもある。
ただし、「タイトル(表題)曲」を2曲以上入れたCDシングルはCDであっても「両A面」「トリプルA面」「マルチA面」などという呼び方をすることが多い。
容量
1枚のコンパクトディスクは(ディスク全面を使った場合)、CD-ROM形式の場合、12cmディスクは約650-700MiB、8cmディスクは約155-300MBの容量を持つ (1MiB = 1024×1024 Byte)。CD-DA形式での収録時間は約74分–80分である。
コンパクトディスクは650MiBでは約333,000セクタ、700MiBでは約360,000セクタからなる。1セクタは2,352バイトで、1セクタあたりのデータ容量はCD-ROMで2,048バイト、CD-DAで2,352バイトである。CD-ROMはCD-DAより厳密なエラー訂正が必要となるため、2,352バイトのうち304バイトをヘッダやエラー訂正などに割り当てていることからCD-DAより容量が少なくなる。一部では800MiBを超える容量のものもあるが、一部の機器では読み取れない場合がある。
なお、この650MiBという容量は以下の計算式によって求められる。CD-DA形式では音楽データをサンプリング周波数44.1kHz、ビット深度16bit、チャンネル数2.0chステレオで記録している(1秒分の音楽データを44,100回に分割し、1回あたり16bitを費やして記録している)。このため、1秒分のデータ量は16×44,100×2÷8=176,400バイトである。これが74分だと176,400×60×74=783,216,000バイトとなり、これは約747MiBとなる。全領域に音楽データだけを記録するならこれだけの記録が可能だが、CD-ROMの場合はエラー訂正用データ等が入るため、使用できる容量は783,216,000÷2352×2048=681,984,000バイトとなり、これが約650MiBとなる。
最大収録時間
記録トラックの幅を狭めれば容量は増やせるが、古い音楽CDプレーヤーにはまれに74分記録されたCD-Rは再生できても80分以上のものは再生できないという互換性の問題が存在する。2003年に策定されたガイドラインHigh Capacity Recordable Disc 1.0に対応していないCDプレーヤーでは長時間CDは再生できない。
CD初期の最大収録時間(74分42秒)が決まったいきさつについて、開発元のソニーによれば以下の通りである。開発の過程でカセットテープの対角線と同じでDINに適合する11.5cm(約60分)を主張するフィリップスに対し、当時ソニー副社長で声楽家出身の大賀典雄が「オペラ一幕分、あるいはベートーヴェンの第九が収まる収録時間」(12cm、74分)を主張して調査した結果クラシック音楽の95%が75分あれば1枚に収められることからそれを押し通した[1]。その大きな要因となったのが、指揮者のカラヤンであった。
開発当時、大賀典雄は、親交のあったカラヤンに、11.5cm(60分)と12cm(74分)との二つの規格で二者択一の段階に来ていることを話すと、カラヤンは「ベートーヴェンの交響曲第9番が1枚に収まったほうがいい」と提言した。指揮者によって変わるが、カラヤンの「第九」は約63分–69分であり、ほとんどのヒストリカル指揮者による演奏時間は60分を超えていた。結果的に74分(最大80分も可能)という収録時間は、1951年にライヴ録音されたフルトヴェングラー指揮のいわゆる「バイロイトの第九」(演奏時間およそ74分32秒)や、それに匹敵する長さであるカール・ベームやレナード・バーンスタインの演奏も、コンパクトディスク1枚に収めることが可能になった。
この話は、大賀がフィリップスを説得するためにカラヤンの名を引き合いに出したという見方があるが、カラヤンが音楽媒体のディジタル化を望んでいたことは事実である。最大収録時間の長大化に当初ソニーとフィリップス社が難色を示した[2]結果、近年のCD-BOXは100枚組や200枚組のように横長にかさばりながら販売を続けている。
また、8cmCD (CD SINGLE) の最大収録時間は約22分程度である。これは、CDビデオのオーディオパートとビデオパートを分けてそれぞれ開発した際に由来している。8cmというサイズはケースに収納したときレコードのシングル盤ケースのちょうど半分のサイズとなるため、小売店でレコード用の棚を使いまわせるだろうと考えたためである。
現在の収録時間最長の音楽CDは、マーキュリー・レーベルにザンクト・フローリアン・アルトモンテ管弦楽団/レミ・バロー(指揮)が録音したブルックナー:交響曲第3番(GRML99044)の89分03秒である。Eight-to-fourteen modulationが定めた[3]規格上は97分26秒まで可能であるが、Yamahaほかのメーカーのドライブはすでに99分59秒まで対応し、100分収録を謳うCD-R商品もすでに発売されている。[4][5]2017年現在までに990MBのCD-Rまで開発されたので、理論上は990MBをすべて使い切った114分26秒がコンパクトディスクの最大収容量になる。一時期にはソフトウェアにオーバーバーンモードまで設けて、990MBまで対応することを謳ったCD-Rドライブもあった。
転送速度
音楽CD(CD-DA形式)の再生時のデータの転送速度は等倍速で1倍速 (約176kB/s、ほかに3%程度時間情報などのサブコードがある) を基準として最大記録時間は640MiBのディスクで約72分(実際の上限は73分54秒ほど)、650MiBのディスクで約74分(実際の上限は75分6秒ほど)、700MiBのディスクで約80分(実際の上限は82分ほど)、最新の800MiBのディスクで約90分(実際の上限は93分ほど)、非公式の900MiBのディスクで約100分(実際の上限は104分1秒ほど)、非公式の990MiBのディスクで約110分(実際の上限は114分26秒ほど)となる。この音楽CDの1倍速を基準として、ディスクのデータ転送速度を表すのに「○倍速」という言い方をする。
マルチメディア媒体
当初から音声・映像記録媒体として開発された。物理フォーマットは先に決まっており、音声記録ディスクの論理仕様が先行して策定された。少し遅れてビデオ記録用としてCDビデオが策定されたが、普及しなかった。後にデータ記録用としてCD-ROM、ビデオ記録用としてビデオCDなどの論理仕様が策定された。これらと対比して音声記録ディスクをCD-DAという。
さらに記録にピットを用いずに、レーザーによる媒体の物理的変化を利用して同等なデジタルデータの書き込みを行う方式が開発された。CD-Rはエンドユーザがデータの追加記録ができる。また、記録してしまった領域を取り戻し、空き領域として記憶領域を再利用することができないCD-Rに対して、CD-RWはデータの消去を可能にし、書き換えができる。
CDの技術を踏まえて音質の向上、あるいは著作権管理機能の強化を目指したディスク媒体の開発が引き続き行われている。オーディオ分野で実用化されたものとしてはスーパーオーディオCD (SACD)、DVDオーディオなどが開発されたがどれもCD-DAを代替するまでの普及には至っていない。
寿命
CDの寿命としては、蒸着した反射膜の寿命、基板となるポリカーボネートの寿命、そしてCD-Rの場合には色素の寿命の観点がある。全般として直射日光や高温・多湿を嫌う。
反射膜
現在、スパッタリング法によってアルミニウムの反射膜を形成する方法が主流となっているが、アルミニウムを用いるCDは環境にもよるが、20–30年が限度と見積られており、現在長期的な保存を可能とした製品の開発が急務となっている。その一方で、メーカー側などでは80年前後保存が可能とする主張もある[6]。なお反射膜に金を用いた場合、100年前後保存が可能と見積られているが、コストの問題など解決しなければならない課題がある。安価なものは印刷・反射層が端からはがれてきたり、水分が反射膜に浸透してアルミニウムが錆びてしまい反射の機能を失うなど、短寿命のものが多い。
色素
CD-Rでは記録面に真夏の昼間の日差しを当て続けると色素が変化し読み込めなくなったり、質の悪い媒体の場合には蛍光灯に含まれる紫外線で変化するものもある。また高温・多湿の環境に置くと、ごく短時間でも印刷・反射層が端からはがれてくる事がある。
基板
ディスクに用いられるポリカーボネートは湿気にあうと加水分解する欠点があり、徐々に白濁していく。これにより情報を読み取るレーザーが通らなくなり、情報を読めなくなる。ディスクの寿命としては前述の反射膜や色素の寿命がよく取りざたされるが、環境によってはポリカーボネートの透明度で寿命が定まる場合もある。
なお、この欠点を積極的に活かし開封後数週間程度で白濁するように製造された媒体もある。これにより、音楽や映像のソフトウェアを再生できる日数を制限する。
温度や湿度変化の影響が比較的少ないガラス製のCDが開発・発売され、保存性の改善が期待されている。2008年には液晶パネル用のポリカーボネートを使用したスーパー・ハイ・マテリアルCD (SHM-CD) とハイ・クオリティCD (HQCD) が開発・発売。さらにブルーレイディスクの技術を応用したブルースペックCDも開発・発売されている。
規格
コンパクトディスクの仕様・規格は対象とする範囲や目的によって複数の規格に分かれており、各規格基準書の表紙の色によってそれぞれが呼び分けられている[7]。
(以下、「規格名 / 対象範囲」)
- レッドブック / 物理仕様、CD-DA、CD-G、CD-EG、CDV、HDCD、CD-MIDI、CD-TEXT、CD SINGLE - 音楽用CD
- イエローブック / CD-ROM - 主にコンピュータ・データ用のCD
- グリーンブック / CD-i - 家庭用マルチメディア媒体
- イエローブックMode2 / CD-ROM XA - CD-ROMを、マルチメディアデータにより特化したCD
- ブルーブック / CD EXTRA - CD-DA(音楽)とデータを共存させているマルチセッションCD
- ホワイトブック / ビデオCD - CD-ROMに動画や音声などを記録
- ベージュブック / フォトCD - コダック独自の符号化方式でデジタル化された画像のCD
- オレンジブック / CD-WO、CD-MO、CD-R、CD-RW - 記録型CD
- パープルブック / 倍密度CD(DDCD) - 一般的なCDの2倍に当たる1.3GBの容量を持つCD
- スカーレットブック / スーパーオーディオCD (SACD) - オーディオデータをCD以上の高音質で記録した次世代CD規格の一つ
関連規格
コピーコントロールCD (CCCD)- 特定の規格の名ではなく、同様の特徴を持つディスクの総称である。無保証ながらも通常のCDプレイヤーで再生できることが多いため、流通などではしばしばCDとして扱われた。
- DVD-Audio
- 互換性はなく、DVDオーディオの再生にはDVDオーディオ対応のプレーヤーが必要である。
- DualDisc
- 片面に音楽CD、もう片面にDVDを貼り合わせた両面の再生専用ディスク。2004年に米国の大手レコード会社が発売した(DVDフォーラムが定めた規格ではない)。CD面は正式な音楽CD規格(レッドブック)に準拠していないためCDロゴは付いておらず、メーカーは「音楽専用面」「非DVD面」など遠回しな呼び方をしている。機器によっては正常に再生できなかったり故障の原因となる可能性がある。(DualDisc)
歴史
名称と寸法のルーツ
この記録メディアに「コンパクト」という言葉が使用された理由は、フィリップス社の意向によるところが大きい。
開発段階でフィリップス社が提示した試作品は、コンパクトカセットの対角線と同じ直径11.5cmで、名称の一貫性が図られていた。ただしその後ソニー側の提案で収録時間を延長したため、実際には直径12cmとなった。
また、レーザーディスクの総本山がフィリップス社であり、そのディスクサイズが30cmだったことにも由来する。これはLPの大きさを参考に設計されたためである。
その後の技術革新で各種記録メディアの小型化・高密度化なども進んだ。しかし、スーパーオーディオCD、DVD、DVDオーディオ、第3世代光ディスク (Blu-ray Disc、HD DVD) などの光ディスクはいずれも直径12cmであり、円盤の大きさはほぼ規格化された。
年表
1965年、アメリカの発明家ジェームス・ラッセルが音楽用光学メディア・テクノロジーを発明。
1970年代前半、フィリップスとMCAがレーザーディスクを開発。
1975年、ソニーが光ディスクの開発を開始。
1977年、フィリップスがCDの開発を開始。ソニーがオーディオフェアでの光デジタルオーディオディスクを実証。
1979年、フィリップスがCDプロトタイプを示し、ソニーと共同開発を開始。
1981年、ドイツでテストCDが製造。
1982年
8月17日 当時の西ドイツのハノーファー(ハノーバー)のランゲンハーゲンにあるポリグラムの工場で、世界で初めてCDソフトの生産が開始。(追って、当時のCBSソニー、日本コロムビアが続く。)[8]
10月1日 日本でソニー、日立(Lo-Dブランド)、日本コロムビア(DENONブランド、日立のOEMで発売)から、世界初のCDプレーヤーが発売。同日、CBSソニー、EPICソニー、日本コロムビアから、世界初のCDソフトが発売された。
- プレーヤーは、ソニーの第1号機はCDP-101で168,000円、日立の第1号機はDAD-1000で189,000円、日本コロムビアも第1号機は日立製と同じ値段だった。
- ソフトの初回発売は、CBSソニー、EPICソニーが合わせて約50タイトル、日本コロムビアが10タイトルだった。このうち最初に生産が行われたのはビリー・ジョエルの『ニューヨーク52番街』(CBSソニー/35DP-1)[9]。同時にレコード店で取扱いが始まり、当初は「レコードよりも音質がよく、ノイズがないニューメディア」として扱われた。レコードと同じ商品のCD版として売られ、価格もレコードよりも約2割ほど高かった。当初、ソフトの値段は各社共にデジタル録音の音源による物が1枚3,800円、アナログ録音の音源による物が1枚3,500円だった。楽曲説明を載せた印刷物は現在の様に中綴じ製本されたものではなく、LPと同じライナーノーツを4つに折ってCDケースに入れる例が多かった。
10月15日 欧州で初めて、フィリップス製のCDプレーヤー及びポリグラム製のCDソフトが発売された。両者共に日本でも輸入販売され、前者はマランツブランドにて、後者はポリドールと日本フォノグラムから、欧州と5日遅れで、同時に発売された。[8]
1983年、米国およびその他の市場でもハード、ソフト共に販売が開始された。
1984年、ソニーから5万円を切るポータブルCDプレーヤー、D-50(49,800円)が発売され、普及に拍車がかかった。ちなみに原価率は200%で、1台売るごとに5万円の赤字が出た。
1985年、当時の西独のポリグラム社によってAAD、ADD、DAD、DDDといった表記が印刷されるようになり、この表記はその後他社も使用する様になる(レコード会社によっては Digital Recording、Digital Mastering など異なった表記がされているものがある)。最初の文字は「レコーディング方式がアナログかデジタルか」、2番目の文字は「ミックスダウンならびに編集の方式がアナログかデジタルか」、3番目の文字は、「マスタリング方式がアナログかデジタルか」を表す。アナログレコードでもこの表示が為されていた商品があり、CDは商品がデジタルメディアであるため3番目の文字は常に「D」である。この表示は日本ではすぐに廃れるか他の表記に変更されたが、輸入盤CDやクラシックやジャズなどの作品には未だにこのマークが印刷されているものがある。
- 「DDD」と表示されたCDとは、デジタル・レコーダーの実用化以降に、デジタル方式でマルチ録音されたソースを元に、デジタル・レコーダーでミキシング、あるいは2chデジタルレコーダーで直接録音するというフルデジタル工程で製作されたものを、デジタル・マスタリングしたという意味である。
- 「ADD」と表示されたCDとは、デジタル・レコーダーが実用化される以前に、あるいは実用化後であっても、製作者の意図で敢えてアナログ方式でマルチ録音されたソースを元に、デジタル・レコーダーでミキシング、あるいは2chデジタルレコーダーで直接録音したものを、デジタル・マスタリングしたという意味である。
- 「AAD」と表示されたCDとは、デジタル・レコーダーが実用化される以前に、あるいは実用化後であっても、製作者の意図で敢えてアナログ方式でマルチ録音されたソースを元に、アナログ・レコーダーでミキシング、あるいは2chアナログレコーダーで直接録音するというフルアナログ工程で製作したものを、デジタル・マスタリングしたという意味である。
- 「DAD」と表示されたCDとは、デジタル・レコーダーの実用化以降にデジタル方式でマルチ録音されたソースを元に、アナログ・レコーダーでミキシングしたものを、デジタル・マスタリングしたという意味になる。
- これは、初期のデジタル録音がアナログ・テープのような編集が難しかったことや、デジタル信号を直接処理できるミキシングコンソールが普及する以前には、デジタルマルチ録音されたソースであっても、ミキシング時にはマルチトラック信号をアナログ変換→ミキシング→デジタル変換→2chレコーダーにデジタル録音という信号変換処理を要したことから、敢えてドルビーSRなどの高性能なノイズリダクションと組み合わせる形でアナログ・レコーダーを使用してミキシングや編集を行う事例があったことによる。
- 邦楽ポップスでは、浅香唯がマイカルハミングバード在籍時代の後期に発表したアルバム(現在廃盤)の一部に、「DAD」で制作された例があり、ライナーノーツの最後にドルビーSRを併用してミックスダウンに使用した旨が記述されていた。
XRCDでは、オリジナルが16ビットデジタル録音の場合、一度24ビットD/Aコンバーターでアナログ信号に変換し、専用マスタリングコンソールから直接そのアナログ信号を出力し、24ビットD/Aコンバーターでデジタル信号に再変換して、CDマスター用の光磁気ディスクに収録するという、敢えてアナログ処理を介在させる手法が取られている。
- これは、初期のデジタル録音がアナログ・テープのような編集が難しかったことや、デジタル信号を直接処理できるミキシングコンソールが普及する以前には、デジタルマルチ録音されたソースであっても、ミキシング時にはマルチトラック信号をアナログ変換→ミキシング→デジタル変換→2chレコーダーにデジタル録音という信号変換処理を要したことから、敢えてドルビーSRなどの高性能なノイズリダクションと組み合わせる形でアナログ・レコーダーを使用してミキシングや編集を行う事例があったことによる。
1986年、販売枚数ベースでCDがLPを追い抜いた。これは、レコード会社が親会社であるオーディオメーカーに配慮してレコード生産を縮小したことも影響している。
1987年 日本のウルテック社が開発した、反射膜に24Kの純金を使用した「GOLD CD(24K純金CD)」が、Mobile Fidelity Sound Lab、日本コロムビア等から発売された。他社もそれに追随するが、1995年に、日本ビクターが発表した高音質仕様CDであるXRCDが登場してからは、余り発売されなくなった。- その後、1988年から次々とCDの定価を下げ規格番号に定価を思わせる数字を表記しなくなり、1990年代前半にかけて、LPは一般的には生産されなくなっていく。しかしそれに反し、CD発売当初から、それを始め当時のデジタル録音の音質に疑問を持ち続けていたキングレコードが、1986年末に、高品質重量盤仕様のアナログLPレコード「ザ・スーパー・アナログ・ディスク」を発表、発売。CDより音質が良いと大反響を受け、シリーズ化し始めたのが功を奏し、90年代中期頃からは、欧米で、ステレオ初期の米RCAビクターや英デッカを始めとするオリジナルの高音質復刻盤が続々と発売され始め続けたこと等が実を結び、アナログ・オーディオが再燃した影響を受け、2010年以降、欧米だけでなく、国内でも相次いで、アナログ盤が再生産されるケースが増えてきている。
2006年、ガラス基板のCDが発売された。通常のディスクと較べると、理論的に音質の劣化が起きにくいとされている[要出典]。一方でコスト面やプレイヤーとの互換性に関して欠点もあげられている。
2008年、CDの保護層に液晶パネル用のポリカーボネートを採用したSHM-CD(スーパー・ハイ・マテリアルCD)が登場。それが一定の評価を得たことを受け、追随する形でハイ・クオリティCDとブルースペックCDが同年に販売された。
脚注
^ ソニー社史より
^ これは事実である。マーラーやブルックナーのような長大な交響曲はCD-Rの上限を上げれば一曲はすべて一枚で収録できてしまう。ところがCD-Rの原価が安いことに気が付いた両社はマーラーの交響曲第3番のような作品を2CDにすることで利益を上げることを考え、ディジタルメディアならではの性能は考慮に入らなかった。
^ Tim Buthe and Walter Mattli, The New Global Rulers: The Privatization of Regulation in the World Economy, Princeton University Press, Feb. 2011.
^ 外部リンク webcache.googleusercontent.comからのアーカイブ、21 Feb 2017 05:35:09 UTC閲覧。
^ 外部リンク webcache.googleusercontent.comからのアーカイブ、21 Feb 2017 05:37:08 UTC閲覧。
^ 気になるCDの寿命 - 神戸新聞社
^ CDファミリーの系譜 - CDs21ソリューションズ オレンジフォーラム
- ^ ab*ポリグラム 最初のCD(初期・西独盤)(B級オーディオ・ファンのサイト内)
^ Sony Global -Sony History- - アーカイブ
関連項目
- CDプレーヤー
- CDDB
- SDリピーター
参考文献
Ecma International. Standard ECMA-130: Data Interchange on Read-only 120 mm Optical Data Disks (CD-ROM), 2nd edition (June 1996).- Pohlmann, Kenneth C. (1992). The Compact Disc Handbook. Middleton, Wisconsin: A-R Editions. ISBN 0-89579-300-8.
- Peek, Hans et al. (2009) Origins and Successors of the Compact Disc. Springer Science+Business Media B.V. ISBN 978-1-4020-9552-8.
- Peek, Hans B., The emergence of the compact disc, IEEE Communications Magazine, Jan. 2010, pp. 10–17.
Nakajima, Heitaro; Ogawa, Hiroshi (1992) Compact Disc Technology, Tokyo, Ohmsha Ltd. ISBN 4-274-03347-3.
外部リンク
- Sony History 第2部第8章「レコードに代わるものはこれだ」
- Philips Research The history of the CD - The beginning
- CDとDVD - CyberLibrarian
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