ポリエ







ボスニア・ヘルツェゴビナにあるリヴァニスコ・ポリエ(英語版)(写真奥にディナラ山(英語版)が見える)


ポリエ(polje、発音: [pǒːʎe])は、カルスト地形のうち、通常面積が5 - 400km2となる、大型の平坦な地形[1]。カルストポリエ(karst polje)またはカルストフィールド(karst field)とも言い[2][3][4]、日本語では溶食盆地(ようしょくぼんち)とも言う。ポリエという語はスラヴ語派の言語から派生したもので、原義は「野原」(field)であるが、英語および日本語では、カルスト地形の平原についてこの語を用いている。




目次






  • 1 地学的な特徴


  • 2 語源


  • 3 脚注


  • 4 関連項目


  • 5 外部リンク





地学的な特徴


地質学の用語としてのポリエは、カルスト石灰岩のうち、大きく、底部が平坦な窪地であり、長軸が主要な構造の走向に平行に発達し、数千キロメートルの長さになるものを指す[5]。表層堆積物は、底部に沿って堆積する傾向が見られる。排水は表層の水流によって(「オープンポリエ」と呼ばれる)あるいは陥落孔(英語版)ポノール(英語版)によって(「クオーズポリエ」と呼ばれる)なされる可能性がある。通常、ポノールは多量の水を流すことができないので、多くのポリエは雨季に湖となる。ポリエの構造は地形学的な構造と関係するものもあるが、純粋な側面の溶解ないしは平坦化作用(英語版)によるものもある。ポリエの発達は、カルスト地形内部の排水の程度によって変化する[5]


ポリエは1,000km2にも達する広大な面積を持ち、底部が平らで閉じられた盆地である[5]。ポリエの底部は、不溶体(緩やかな起伏を持つ)または土壌となったむき出しの石灰岩である可能性がある。ポリエは典型的に複合的な水文地質学的特徴を示し、エクスサージェンス(exsurgence)、エステヴェレ(英語版)、陥落孔、末無川などが見られる。ディナル・アルプス山脈には多数のポリエが形成されている[5]


ポリエは亜熱帯や熱帯地域に多く分布するが、温帯にも見られ、数は少ないが亜寒帯にも存在する。多くはテラロッサと呼ばれる厚い堆積物に覆われており、広く農業に利用されている。


ディナル・アルプスのポリエには雨の多い冬季や春季にizvorまたはvreloと呼ばれる一時的な湖が発生する場合がある。この湖はポノールを通って排水され、消滅する。世界の主要なポリエには、ボスニア・ヘルツェゴビナにある世界最大のリヴァニスコ・ポリエ(Livanjsko polje、長さ60km、幅7km)、グラモツコ・ポリエ(Glamočko Polje)、グラホブスコ・ポリエ(Grahovsko Polje)ドラヴァルスコ・ポリエ(Drvarsko Polje)、ドゥヴァンジスコ・ポリエ(Duvanjsko Polje)クプレス高原(Kupres Highlands)、ポポヴォ・ポリエ(英語版)、ダバルスコ・ポリエ(Dabarsko Polje)、ネヴェシンジスコ・ポリエ(Nevesinjsko Polje)、ガタツコ・ポリエ(Gatačko Polje)、ロガテク・ポリエ(Logatec Polje)、スロベニアのプラニア・ポリエ(Planina Polje)、セルクニカ・ポリエ(Cerknica Polje)、モンテネグロのニクシツコ・ポリエ(Nikšićko Polje)、クロアチアのリカ地方にある、リツコ・ポリエ(Ličko Polje)などがある。



語源


ポリエは「奥地の谷」(interior valley)の意味である。polyeの形で、フランス語・ドイツ語・ギリシャ語・イタリア語・スペイン語・トルコ語でも使われている。polje 自体はスラブ語派の言語を起源としている。英語では旧ユーゴスラビアの言語であるセルビア語、クロアチア語、ボスニア語、スロベニア語から借用した。マケドニア語・ブルガリア語ではpole、ロシア語ではpolyeと表現する[5]



脚注





  1. ^ 『ニュートン』2017年5月号、ニュートンプレス、 48頁。


  2. ^ Price, V. N. 2011. The Orphaned Land: New Mexico's Environment Since the Manhattan Project. Albuquerque: University of New Mexico Press, p. 167.


  3. ^ Weber, Rudolf O. et al. 1997. "20th-Century Changes of Temperature in the Mountain Regions of Central Europe." In Henry F. Diaz et al. (eds.), Climatic Change at High Elevation Sites, pp. 327–344. Dordrecht: Kluwer, p. 329.


  4. ^ White, William Blaine, & David C. Culver (eds.). 2012. Encyclopedia of Caves. Waltham, MA: Academic Press, p. 443.

  5. ^ abcde
    "Glossary of Cave and Karst Terms" (letter "P"),
    Speliogenesis.info, 2009, webpage:
    Spelio-gloss-P.





関連項目








  • カルスト地形(ドリーネ - ウバーレ)


  • 秋吉台 - 日本のポリエ



外部リンク




  • ポリエ とは - コトバンク


  • 中国地方の地形環境 山口県 中原ポリエ - 徳山大学




Popular posts from this blog

How to make a Squid Proxy server?

Is this a new Fibonacci Identity?

19世紀