AK-47









































































AK-47

AK-47 assault rifle.jpg
AK-47

概要
種類
軍用小銃
製造国
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦(開発国)
設計・製造
設計 ミハイル・カラシニコフ
製造 イジェフスク造兵廠、トゥーラ造兵廠など
性能
口径
7.62mm
銃身長
415mm
ライフリング
6条右回り
使用弾薬
7.62x39mm弾
装弾数
30発
作動方式
長ガス・ピストン式
回転ボルト閉鎖
セミ/フルオート切替射撃
全長
870mm
重量
3,900g(マガジン無し、III型)
4,400g(マガジン付、III型)
発射速度
600発/分
銃口初速
730m/s
有効射程
300m(推定)
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AK-47(ロシア語: Автомат Калашникова образца 1947 года(アフトマットカラシニコバソーラクスェーミ)、ラテン文字転写: Avtomat Kalashnikova-47)とは、ミハイル・カラシニコフが設計し、1949年にソビエト連邦軍が制式採用した自動小銃である。


実戦の苛酷な使用環境や、戦時下の劣悪な生産施設での生産可能性を考慮し、部品の公差が大きく取られ、卓越した信頼性と耐久性、および高い生産性を実現した。


この特性から、本銃はソビエト連邦のみならず、全世界に普及した。基本設計から半世紀以上を経た今日においても、本銃とその派生型は、砂漠やジャングル、極地など、あらゆる世界の地帯における軍隊や武装勢力の兵士にとって、最も信頼される基本装備になり、『世界で最も多く使われた軍用銃』としてギネス世界記録に登録されている[1]


本記事では、直接の改良型であるAKM、その他7.62x39mm弾を用いるシリーズ製品、および各国で生産されたモデルについても記述する。




目次






  • 1 開発


  • 2 構造


  • 3 バリエーション


    • 3.1 AK-47


      • 3.1.1 AKS-47




    • 3.2 AKM


      • 3.2.1 AKMN


        • 3.2.1.1 AKML




      • 3.2.2 AKMS


        • 3.2.2.1 AKMSN


          • 3.2.2.1.1 AKMSL






      • 3.2.3 AKMSU






  • 4 その他の派生型


  • 5 各国で生産されたAK


    • 5.1 画像




  • 6 備品


    • 6.1 銃剣


    • 6.2 擲弾発射器


    • 6.3 暗視装置


    • 6.4 サプレッサー




  • 7 運用国


    • 7.1 日本での運用




  • 8 特徴と逸話


    • 8.1 ユニット化と故障の少なさ


    • 8.2 初期の曲銃床とマズルジャンプ


    • 8.3 民族自決と革命の象徴


    • 8.4 ベトナム戦争での活躍


    • 8.5 中東やアフリカでの流通


    • 8.6 大量破壊兵器の象徴


    • 8.7 模造品の氾濫


    • 8.8 アメリカ合衆国における流通




  • 9 脚注


  • 10 参考文献


  • 11 関連項目


  • 12 外部リンク





開発


元々赤軍戦車兵だったミハイル・カラシニコフは、負傷入院中に銃器設計への関心を強め、1942年から小火器設計に関わる。


1940年代中頃、カラシニコフを含む複数の設計者は、火薬量を抑え反動を軽減した中間弾薬の一種である新型弾薬7.62x39mm弾を用いるセミオートマチック・カービンの設計に着手。最終的にセルゲイ・シモノフの設計案が支持され、1945年にSKSカービンとして採用された。この時、ソ連当局では並行しナチス・ドイツが独ソ戦において投入したStG44と同種の「アサルトライフル」開発を計画。最有力候補は、短機関銃の設計者として著名なアレクセイ・スダエフが手がけたAS-44(ロシア語版)突撃銃だったが、スダエフの死去により頓挫。ほかにも、さまざまな設計案が出たが、戦後1946年、カラシニコフの、AK-46設計案が最初の審査に合格。さらに1年を費やし改良、1948年に最優秀設計案として限定先行量産が決定。そして軍での試験運用を経て、1949年ついにソビエト連邦軍の主力小銃として制式採用[2]


戦車兵だったカラシニコフは設計の専門教育を受けていなかったため、AK-47設計の際も正しい設計図面を描けなかった。彼に代わって図面を描いたのは、後に妻となる女性技師エカテリーナ・ヴィクトロヴナ・モイセーエフ(Ekaterina Viktorovna Moiseyeva)であった[3][4]
当初の制式名称は「7.62mm アフトマート・カラシニコバ」であり、「AK-47」の呼称は、後にいくつもの改良型が登場したため、それらと区別するためであった[5]



構造





56式自動歩槍(中国製AK-47)の断面図


AKは、StG44の基本概念を直接継承した製品で、レイアウトにも共通点があるが、閉鎖・撃発機構には米国のM1カービンなどからの影響[6]を受け、その基本構造も独自のものである。


AKは、StG44と同様にロングストロークガスピストン方式を用い、銃身上にガスピストンを位置させた設計を継承し、長いバナナ型弾倉と、ピストルグリップを持つ共通した設計で構成されている。


ボルトを開放/後退させるボルトキャリアは、ガスピストンと一体化したデザインであり、ボルトと一緒に前後動する総重量の大きさから命中精度は悪影響を受けているが、他方でその慣性力とあいまって泥汚れなどにも耐える確実な作動性を実現している。さらに、銃身と薬室の内部、ガスピストン、ガスシリンダー内部には耐腐食性・耐摩耗性に優れたクロムでメッキされ、腐食[注 1]や摩耗を抑えている。


ボルトは、ボルトキャリア内側のカム溝によって、その前後動とともに約35度回転させられ、ボルト先端の突起が銃身基部の切り欠きと嵌合/解除する事で、薬室の閉鎖/解除を行う。ボルトキャリアを前進させるリコイルスプリングは後方に位置し、分解時に飛び出して紛失する事を防ぐため、ワイヤーを折り曲げたストッパーを内蔵させて一定の長さ以上に伸びないよう工夫されている。


撃発機構は大きく余裕を持ったレシーバー(機関部)内の空間に位置し、泥が侵入しても動作に支障が起き難いよう設計されている。ハンマー(撃鉄)などを動作させるスプリングは、極寒の北極圏から灼熱の砂漠地帯まで、変化に富んだソ連全域で使用できるよう、MG42を参考に2本のピアノ線を捻ったものが使用されている。


レシーバー右側面にはダストカバーを兼ねた大型のセーフティレバー兼セレクターがあり、カバーを閉じた状態は安全位置となり、引き鉄がロックされ発射できなくなる他、ボルトも不完全な位置までしか後退できなくなる。セーフティの解除には右手をグリップから離して、親指を使って押し下げる操作が必要であり、解除の次は全自動位置となり、さらに押し下げると半自動位置となるが、グリップから手を離さずに全ての操作が可能な欧米諸国のアサルトライフルに比べて、セーフティ解除から発射まで時間がかかり、操作の際に大きな金属音が出る弱点がある。AKから派生したイスラエル製のガリルは、セレクターと連結したレバーをレシーバー左側面にも設けてある。


銃身と銃身基部の接合は、AK-47ではネジ込み固定とされていたが、AKMでは銃身を圧入した後に一本のピンで固定する方法に改められ、中国製の56式自動歩槍などでは、ほとんど全てがAKMと同じ固定方法を用いている。


銃身途中にはガスポートが穿たれ、ガスシリンダーを取り外すと肉眼で目視できるため、作戦行動中にガスポートが詰まってしまっても、兵士が自力での対応も可能である。


リアサイト(照門)は、ボルトアクション式小銃と同様のタンジェントサイトと呼ばれる種類である。横方向への修正は専用工具でフロントサイト(照星)を調節して行う。M16などの上下左右に微調整できるピープサイトに比べて照準時の精度は低く、使用時の微調整が困難だが、視界が広く、素早く照準を合わせられる利点がある。射程は800mまで対応している。


カラシニコフは設計にあたって、開発当時、専門教育・高等教育を受けていない新兵達にも取り扱いが容易な様に、彼らの気持ちになって様々な工夫をしたと述べている[5]






バリエーション


AK系ライフルは基本設計が優れていたため、改良されながら50年以上、世界の紛争地域で使われ続けている。初期型のものも7.62x39mm弾の対人威力が非常に大きいことから、特に接近戦の多い市街戦などで現役で多用されている。また、東側各国でライセンス生産や模造品の生産が行われ、種類は多岐に渡る。報道等ではいずれも区別せずAK-47やAKと総称されることも多い。



AK-47


AK-47は、7.62x39mmの口径を持つ銃で、実包はバナナ型といわれることもある30発入りの箱型弾倉、または75発入りのドラム型弾倉に収められている。一度弾を込めて発射すると、発射時に発生する高圧ガスを銃口手前から引き込んで、重いピストン・ボルトキャリアーを後方に押し下げ、再び前進する際に次の弾を薬室へ押し出し、自動的に再装填するようになっている。この射撃と送弾を連続的に行うことにより連射が可能となり、AK-47は一分間に600発以上の速度で射撃ができる。


銃床内に、メンテナンス器具が収納可、バットプレート中央に蓋が付いている。


AK-47専用銃剣として、6kh2が採用された。SVT-40に使われていたM1940銃剣の改良型である。銃本体には銃剣取り付け用のラグが無いため、マズルプロテクターの段差と、バレルを利用して固定する。


AK-47は当初、機密扱いの武器であったため、兵士は覆いを被せて持ち運んでいた。


西側ではAK-47を生産時期と特徴から、I型からIII型までの3種に分類している。



I型

最初期のI型では、StG44と同様にレシーバー(機関部)をプレス加工で製造し、強度が必要な箇所にはスチールパーツが溶接ないしリベット打ちで取り付けられていた。しかし、当時のソ連にはプレス加工とリベット加工に必要な技術力が不足していた為、強度不足による不具合が多発した。また、生産コストの削減を目的としたプレス加工も、技術不足により従来の切削加工以上のコストが掛かったという。I型には着剣装置は設けられていなかった。1949年~1953年に、50万丁~100万丁ほどが量産されたとされる[7]



II型

1953年に設計されたII型では、I型の反省からレシーバーの製造法が旧来の切削加工に変更された。十分な強度が確保されたことで、レシーバーのリベット側面のリベットが無くなった。レシーバー両側の弾倉口近くに設けられた長方形の窪みは、軽量化に加え、暗闇など手元が見えない場合にも弾倉口の位置を示すことを目的としている。そのほか、銃床の取り付け方法やピストルグリップの形状などが変更されている。弾倉もI型はリブが2本付いた表面が滑らかなものだったが、II型では強度確保の為にリブの数が増やされた[8]



III型

1953年末には、II型をさらに改良したIII型が発表された。III型では、銃床の取付け方式が再び変更され、レシーバーの間のスチールブロック部分が廃止されたほか、後部スリングスイベルが銃床下部からレシーバー左側面へ、前部スリングスイベルがフォアエンド左前からガスブロック部へ移されるなど、細部の改良が施された。III型では切削工程が増えた為、生産コストは安くなかったとされる。弾倉の形状ついては概ねII型と同じだが、下部のリブが横2本から、前部に2本・後部に3本と変更されている。以後1959年の生産終了までこのモデルが製造された。東側諸国を中心に普及が始まったのはIII型になってからで、AK-47と言えば専らこのIII型を指す[9]


銃本体の重量は各型によって異なり、I型が4,085g、II型が4,125g、III型が3,900gとなっている[10]


当初の製造はイジェフスク造兵廠のみであったが、軍の要請に応じトゥーラ造兵廠など、生産工場を拡大する。しかし、生産ライン拡大につれて、II型以降のレシーバーの生産性の悪さが問題となった。レシーバーの切削加工は、2.7kgの鉄板を120工程を経て製造、非常に手間がかかっていた[11]。そのため、更なる改良が行われ、AKMに発展する。






AKS-47


AKS-47は、AK-47の銃床を金属製折り畳み式に変更し、携帯性を高めた。名称にある「S」とは、「Skladnoy」の略で、「折り畳みの」の意。この銃床は、レシーバー後端の支点を中心に下方へ回転させて折り畳む方式で、ナチス・ドイツのMP38/40のものと似ているが、バットプレート形状が弾倉に当たらないよう考慮されている。銃床を折り畳んでも射撃可能だが、その状態では銃側面のセレクターレバーを操作しづらいなどの欠点があった。


AKS-47は、空挺部隊やスキー部隊などの特殊部隊に支給、車両部隊やヘリコプターの装備火器としても利用された。さらに、国境警備のKGB部隊にも支給。






AKM


































































AKM

AKM automatkarbin, Ryssland - 7,62x39mm - Armémuseum.jpg
AKM(弾倉は従来のAK-47と同じ金属製を装着している)

概要
種類
軍用小銃
製造国
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦(開発国)
設計・製造
設計 ミハイル・カラシニコフ
製造 イジェフスク造兵廠、トゥーラ造兵廠など
性能
口径
7.62mm
銃身長
436mm
ライフリング
6条右回り
使用弾薬
7.62x39mm弾
装弾数
30発
作動方式
長ガス・ピストン式
回転ボルト閉鎖
セミ/フルオート切替射撃
全長
898mm
重量
3,290g(マガジン無し)
発射速度
600発/分
銃口初速
730m/s
有効射程
600m
テンプレートを表示

AKM(エーケーエム、アフトマート・カラーシュニコヴァ・モデルニジーロヴァンヌイ[12]、露: Автомат Калашникова Модернизированный、ラテン文字転写:AK Modernizirovannyj、「近代化カラシニコフ自動小銃」の意)は、AK-47の改良型である。


AK-47開発時には技術不足からプレス加工の採用が取り止められたが、1954年には十分に技術が成熟したとしてプレス加工のレシーバーを用いる新型アサルトライフルの開発が始まった。この際にも複数の設計局から様々な設計案が提出されたが、最終的にソ連軍が選んだのはカラシニコフの設計案だった[13]。1957年に試作型がソ連軍に提出され、トライアルの結果、1959年に制式化された[14]


基本構造はAK-47と同様だが、以下の点が変更されている。



  • レシーバー(機関部)がプレス加工と切削加工部品をリベット接合する方式で製造され、生産性大幅向上と同時に、重量3,290gと軽量化にも成功。プレス加工の弱点を補い強度を確保するため、レシーバー各所にリブを追加している[14]。弾倉口近くに設けられた長方形の窪みは、小型化されたうえで横長の楕円形に変更された。

  • 連射速度安定化のため、レートリデューサーをシア部分に内蔵。


  • 銃口(マズル)について、試作型ではAK-47と同形状であったが、量産型では銃口(マズル)部分を、発砲時の燃焼ガスが斜め右上に逃げるよう竹槍状に切り落とした形状のマズルブレーキとし、発射時の反動で銃口が上を向かないよう改良された。これは、カラシニコフがAKMの前線視察に行った際、兵士の意見を参考に取り入れたものである[14]。これによって全長が898mm、銃身長436mmとAK-47より若干伸びた。

  • AK-47では、銃剣取り付け用のラグがなかったため、不自然な方法で取り付けられていたが、AKMでは銃剣用ラグを設けられ、取り付けが容易となった。この銃剣ラグは、のちに開発されたGP-25などのグレネードランチャーが取り付け可能となっている。

  • AKM用銃剣として採用された6kh3は、多機能銃剣のはしりと言えるモデルで、バックソーや鞘と組み合わせて使用するワイヤーカッターを持つ。更にこのモデルを改良した6kh4が登場し、後にAK-74用の銃剣としても採用された。

  • 初期は、AK-47と同じ合板製グリップと金属製弾倉であったが、後に赤茶色のベークライト製グリップと、オレンジ色のベークライト製弾倉を採用した。グリップにはチェッカリングが付けられ、表面が滑らかだった合板製よりも握り易くなっている。これらの部品は、AK-47のものと共用可能。

  • 生産性や使用環境を考慮し、銃床とハンドガードは従来と同じ合板製を採用。ただし、改良されており、AK-47では若干傾斜していた銃床を、銃身軸線の延長線上に銃床が位置する直銃床として、フルオート射撃時のリコイルによる銃身の跳ね上がりを抑制している。下部ハンドガードについては、リブを追加してホールドし易くした他、レシーバーとの接点にあったスチールブロック部分を廃止し、直接レシーバーと接合している。

  • リアサイト(照門)に刻まれている射程の目盛りが、AK-47の800mから、1,000mまでの対応と増加した。

  • 後部スリングスイベルをAK-47 III型のレシーバー左側面から、銃床下面に移動。1970年代に入って生産されたものは、銃床左側面の下部に変更され、これは後に生産されたAK-74でも踏襲されている。


上記の変更点はあくまでソ連製のものであり、海外でライセンス生産されたAKMについては、必ずしも踏襲している訳ではない。


現在、ロシア連邦軍ではAK-74など小口径の5.45x39mm弾を使用する小銃が一線級部隊の主流であるが、地方配置されている二線級部隊ではRPK軽機関銃と共に使用されている。一部の部隊では大口径の威力を求め、あえてAKMを使用する例もある[14]。またベトナム軍もak47からakmにカスタマイズするという作業が行われている






AKMN


AKMNは、暗視装置を装着するためのマウントプレートがレシーバー左側面に付属した、AKMの夜間戦闘型。



AKML

AKMLは、AKMNに、消音効果を高めるため、専用のサプレッサーを装着した型。






AKMS


AKMSは、AKMの銃床を折りたたみ式にしたものである。1960年より生産が開始された[15]。銃床の折り畳み方はAKS-47と同じであるが、AKMと同様にフルオート射撃時の制御を容易にするため、展開時の角度がより水平に近くなっている。AKS-47同様、空挺部隊や戦車兵などが用いる。


東ドイツでは、折畳時にもセレクターの操作を邪魔しないように形状を工夫した右側面折畳式銃床を設計し、AKMSに相当するモデルであるMPi-KMS-72で初めて実装させた。後にルーマニアとポーランドが同一形状銃床装備の派生型を生産したほか、エジプトやハンガリーでも多少形状の違う右側面折り畳み式銃床装備の派生形を生産している。






AKMSN

AKMSNは、暗視装置を装着するためのマウントプレートがレシーバー左側面に付属した、AKMSの夜間戦闘型。



AKMSL

AKMSLは、AKMSNに、消音効果を高めるため、専用のサプレッサーを装着した型。



AKMSU




銃床を折り畳んだ状態のAKMSU


AKMSUは、パキスタンのカイバル峠で製造されたカービン銃である。


銃身を270mmにまで短縮化、それに合わせフォアエンドぎりぎりまでガスピストンとシリンダーを短縮化させたことに伴い、以下の改良が施された。



  • 照準線の長さを確保するため、ヒンジ式にして固定を強化したレシーバーカバー上面に、固定式照門を装着。

  • ガス圧作動機構の動作を安定させると共に、発射炎で射手の眼が眩まないように、銃口部分に大型のフラッシュハイダー装備。

  • コントロールを容易にするため、フォアエンドに下部折畳式銃床に干渉しないように形状を工夫した垂直グリップ装備。


AKMSU自体はソビエト連邦で生産されておらず、非正規の派生型であるため存在もあまり知られていないが、その設計は後述のモデルに共通部分が多い。


また、ユーゴスラビア・セルビア製のツァスタバ M92やブルガリア製のアーセナル AR-SFおよびアーセナル AR-M4SFのように、7.62x39mm弾を使用しつつもフォアエンドの形状以外はAKMSUに類似した派生型も生産されている[注 2]



その他の派生型



RPK(軽機関銃)



75連装ドラム型弾倉を装着したRPK軽機関銃


RPKは、RPD(軽機関銃)の後継分隊支援火器として1961年に制式採用。AKMから派生した。




PK(軽機関銃)

PKは、AKの発展型としてミハイル・カラシニコフが開発した汎用機関銃で、7.62x54mmR弾を使用する。1961年にソ連軍に制式採用された。




AK-74

AK-74は、AKMの後継となった小口径高速弾を用いるアサルトライフルである。




OTs-12 Tiss



OTs-12 Tiss


KBP社がAKS-74U(クリンコフ)を9x39mm弾仕様として小改良したもの。リアサイトは後方に移動し、フラッシュハイダーの形状を変え、マガジンを独特のデザインにした。



VEPR

VEPRは、RPKを製造しているモロト社がRPKのレシーバーを使用し、製造したライフルである。このVEPRには大きく分けて2種類存在する。軍などの法執行機関向けのVEPR-12セミオートショットガン、そして民間市場向けのVEPR猟銃である。




サイガ



サイガ308口径


AKのレシーバーを使ってイズマッシュ社が製造した小銃。VEPR同様、散弾銃とライフルの2種類が存在する。




OTs-14 Groza

AKのレシーバーをストックとする、ブルパップ方式の特殊部隊向けアサルトライフル。"Groza"は、ロシア語で「雷雨」の意。7.62x39mm弾と9x39mm弾を使用する。




BERKUT

KBP社製のAKをベースに開発されたライフル。



VSS

隠密潜入作戦やゲリラ作戦用に従事する特殊部隊向けに開発された、特殊消音狙撃銃。




AS Val

VSS狙撃銃と同一設計のアサルトライフル。




AK-100シリーズ


ソ連崩壊後、ロシアのAK生産拠点は民営化、イズマッシュ社として再出発。現在もAKシリーズの生産、改良を続けており、様々な種類が発表されている。

このシリーズは本質的にはAK-74Mの口径変更型である。

AK-103-4は、7.62x39mm弾を使用するAKシリーズの最新型(AK-47、AKM、AK-103に次ぐ第4世代にあたる)であり、伸縮折り畳み式のストック、ピカティニー・レール、新型のマズルブレーキを装備している。




AK-9


イズマッシュ社が開発した9x39mm弾を使用するコマンドアサルトライフル。ベースはAKS-74U(クリンコフ)で、9x39mm弾を使用することから、スペツナズ(特殊部隊)用に設計されたと思われる。



AK-200


2010年5月にロシアで公開されたAK-74Mを原型に、レールシステムのハンドガードの追加などの改良が行われており、2011年から試験が開始された。2011年中旬にロシア軍は今後、AK-200ではなくピカティニー・レール付きのAK-74Mを継続使用すると発表した。



AK-12


2012年1月にロシアで発表された次世代AK小銃。AK-200の様に現代化を意識しつつシルエットは本来のAKに近づけられている。レシーバーは今までのAKとはかなり異なり、リアサイトはレシーバー後方に設置され、セレクターレバーは小型のものがレシーバー両面に設けられた。ストックは伸縮折り畳み式になっている。使用弾は5.45x39、5.56x45、7.62x39mm、7.62x51が計画されている。


2015年4月、ロシア国防省はAEK-971とともにAK-12の選定を公表した[16]






各国で生産されたAK


AK-47だけでなく、AKMやRPK、AK-74を基に開発されたものも含む。ただし、SVDやPKMのコピーは含めない。RPKについて詳しくは各国で生産されたRPKを参照のこと。






















































































































国名 名称 相当品、備考

中華人民共和国の旗 中国

56式自動歩槍
56-1式自動歩槍
56-2式自動歩槍
56-3式自動歩槍
56-C式自動歩槍
56-S式自動歩槍
56-SS式自動歩槍
56S-1式自動歩槍
56S-7式班用機槍
74式軽機槍
84式自動歩槍
84-2式自動歩槍
84-S式自動歩槍
84SS-1式自動歩槍
86S式自動歩槍
88-S式自動歩槍
AK-47 III型コピー、スパイクバヨネット装着
AKS-47
AKS-47、オリジナル側面折畳銃床
AKMコピー オリジナルの小改良
56-2式ベースカービン
民間向け輸出用、セミオートのみ
AKMSの銃床を取り外し、さらに短銃身化した
56-1式民間向け輸出用、セミオートのみ
56式がベースのRPK軽機関銃
56S-7式をベースに独自に開発した軽機関銃
56式。5.56mm NATO弾を使用
側面折畳銃床。5.56mm NATO弾を使用
民間向け、56-S式の派生形。5.56mm NATO弾を使用
民間向け、AKMSカービン。5.56mm NATO弾を使用。
56式ブルパップ方式
AK-74コピー、セミオートのみ

朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮

58式小銃
68式小銃
88式歩銃
98式歩銃
AK-47 III型
AKM
AK-74、金属製弾倉を使用
88式のプラ部品を金属製に換装

ミャンマーの旗 ミャンマー
Emerk-3
MA-1
ガリル AR 固定ストック
ガリル AR

東ドイツの旗 東ドイツ

MPi-K
MPi-KMS
MPi-KM
MPi-KMS-72
MPi-AK-74N
MPi-AKS-74N
MPi-AKS-74NK
Wieger STG941
Wieger STG942
Wieger STG943
Wieger K500
KK-MPi-69
AK-47 III型
AKS-47、側面折畳銃床
AKM
AKMS、側面折畳銃床
AK-74
AKS-74、側面折畳銃床
AKS-74U、側面折畳銃床
5.56mm NATO弾仕様
STG941、側面折畳銃床
STG942カービン
RPK-74
訓練用.22LR弾仕様

ポーランドの旗 ポーランド
Kbk AK(PMK)
Kbk AKS(PMKS)
Kbk AKM(PMKM)
Kbk AKMS(PMKMS)
Kbkg wz. 1960(PMK-PGN-60)
WG-GS-4 ライアット・コントロール
Kbk wz. 1988 タンタル
Skbk wz.1989 オニキス
Kbs wz. 1996 ベリル
Kbk wz.1996 ミニベリル
Kbk wz.1997 ボゾ
Kbk wz.2002 ビン
Kbs wz. 2004 ベリル
Kbk wz.2005 ジャンター
AK-47
AKS-47
AKM
AKMS
AK-47、ライフルグレネード発射可能モデル
AKの機関部を利用したネット発射器
AKS-74
AKS-74U
AKS-74、近代化モデル、5.56mm NATO弾仕様
wz.1996短縮(クリンコフ)型、5.56mm NATO弾仕様
wz.1996ブルパップ仕様、5.56mm NATO弾仕様
wz.1997 ボゾ改良型、5.56mm NATO弾仕様
wz.1996近代化モデル、5.56mm NATO弾仕様
wz.2002近代化モデル、5.56mm NATO弾仕様

ユーゴスラビアの旗 ユーゴスラビア
セルビアの旗 セルビア

M70
M70A
M72
M76
ツァスタバ M77/M77
ツァスタバ M80/M90
ツァスタバ M90A
ツァスタバ M85/M85SMG
ツァスタバ M92/M92SMG
ツァスタバ M21
マスターFLG
マスターFLG-K
AK-47、AKM
AKS-47、AKMS
RPK
M70狙撃銃、7.92x57mm弾仕様
M70、7.62mm NATO弾仕様
M70、5.56mm NATO弾仕様
M70A、5.56mm NATO弾仕様
AKS-74U、5.56mm NATO弾仕様
AKS-74U、7.62x39mm弾仕様
M90、近代化カービン、側面折畳銃床、5.56mm NATO弾仕様
AKベースのサブマシンガン
マスターFLGを小型化したもの

 ルーマニア
PM md.63(AIM)
PM md.65(AIMS)
PA md.86(AI-74)
PA md.86(AIMS-74)
PM md.90(AIMS)
PM md. 90カービン(AIMR)
PM md.97
WASR
FPK(PSL)
AKM、フォアグリップ付属
AKMS、フォアグリップ付属、下面折畳銃床
AK-74、フォアグリップ付属
AKS-74、フォアグリップ付属、側面折畳銃床
AKMS、フォアグリップ付属、側面折畳銃床
PM md.90のカービンモデル、側面折畳銃床
AKs-74、5.56mm弾仕様。側面折畳銃床
AK-100、木製部品を使用している
狙撃銃、7.62x54mmR弾仕様

 ハンガリー
AK-55
AKM-63
AMD-65
AMP-69
FEG-NGM
AK-47
AKM、フォアグリップ付属
AKMSカービン、フォアグリップ付属、側面折畳銃床
AMD-65簡易型、側面折畳銃床
AKM、5.56mm NATO弾仕様

 ブルガリア
アーセナル AR
アーセナル AR-F
アーセナル AR-1
アーセナル AR-1F
アーセナル AR-M1
アーセナル AR-M1F
アーセナル AR-M2F
アーセナル AR-M4SF
アーセナル AR-SF
アーセナル AR-M7F
アーセナル M9
アーセナル M9F

アーセナル SLR-100シリーズ
AK-47
AKS-47
AK-47、フラッシュサプレッサー装備
AKS-47、フラッシュサプレッサー装備
AK-74
AKS-74、下面折畳銃床
AK-102、AK-104、下面折畳銃床
AKS-74U、5.56mm NATO弾と7.62x39mm弾仕様がある、側面折畳銃床
AKS-74U、5.56mm NATO弾と7.62x39mm弾仕様がある、下面折畳銃床
AK-101、AK-103
AK-74、5.56mm NATO弾仕様
AKS-74、5.56mm NATO弾仕様、側面折畳銃床
上記のAKのレシーバーは、全てAK-47タイプの切削加工
AK-100シリーズに相当

 ウクライナ

Vepr
AK-74ブルパップ方式、5.45x39mm弾仕様

イスラエルの旗 イスラエル
カラシニコフ試作小銃
ガリル ARM
ガリル AR
ガリル SAR
ガリル MAR
ガリル ARM 308
ガリル AR 308
ガリル SAR 308
ガリル・スナイパー(ガラッツ)

Sardius M26
ガリル・エース21・22・23
ガリル・エース31・32
ガリル・エース52・53
ガリルの試作品の一つ。5.56mm NATO弾仕様、外観はAK
5.56mm NATO弾仕様、側面折畳銃床
ARM簡易型、側面折畳銃床
ARカービン、側面折畳銃床
AR短縮型、側面折畳銃床
ARM 7.62mm NATO弾仕様、側面折畳銃床
AR 7.62mm NATO弾仕様、側面折畳銃床
SAR 7.62mm NATO弾仕様、側面折畳銃床
狙撃銃、7.62mm NATO弾仕様、側面折畳銃床
ガリルはフィンランドのバルメをベースにしたオリジナル
ガリルベースの狙撃銃
5.56mm NATO弾仕様の改良型MAR・SAR・AR
口径7.62x39mm弾仕様の改良型MAR・AR
口径7.62mm NATO弾仕様の改良型SAR・AR

イランの旗 イラン
KL-7.62mm
AKM、AKMS

イラクの旗 イラク
タブク

タブク狙撃銃
ユーゴスラビア製M70B1(AKM)、M70AB1(AKMS)
型式番号による区別無し
M70狙撃銃、7.62x39mm弾仕様。

 エジプト
MPi-KMS-72
MISR
東ドイツ製エジプト向け輸出仕様、側面折畳銃床
AKMベース、近代化モデル

インドの旗 インド

INSAS
AK-47ベース、5.56mm NATO弾仕様

 フィンランド

Rk 62
Rk76
バルメM82
M90
Rk 95 TP
固定銃床
側面折畳銃床
ブルパップ式、5.56mm NATO弾仕様
近代化モデル
M90改良型

 南アフリカ共和国

R4
R5
R6
ベクター CR21
ツルベロ ラプター
IMI ガリルAR、ベクター社のライセンス生産
IMI ガリルSAR、ベクター社のライセンス生産
IMI ガリルMAR、ベクター社のライセンス生産
強化樹脂外装、ブルパップ式、5.56mm NATO弾仕様
R4ベースのライフル、ツルベロ社設計

イタリアの旗 イタリア
イエーガーAP80
イエーガーAP84
ベルナルデリVB-STD
ベルナルデリVB-SR
AK-47 III型、.22LR弾仕様
ガリルAR、外観の異なる.22LR弾仕様
M16のマガジンを使用できるようにしたガリルAR
M16のマガジンを使用できるようにしたガリルSAR

 スウェーデン
FFV-890C
ガリル5.56AR、ハンドガード変更

オランダの旗 オランダ
NM-1
D.NM-1・M2
ガリル5.56ARM
NM-1をベースに開発したオリジナル

ドイツの旗 ドイツ

GSG-AK47
AKMの外見を模倣したプリンキングガン、.22LR弾仕様

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
インターオーディナンス AK47
BHI SOPMOD AK
センチュリオン AK39
KCI KTR-08
K-VAR AKU94

ポーランド製PMKの民間向けコピー。セミオート限定
軍事インストラクター会社による自社ブランド銃
民間向け。セミオート限定
民間向け。セミオート限定
ブルパップ式。セミオート限定




画像






備品



銃剣






擲弾発射器


AKには、銃身の下に擲弾発射器(グレネードランチャー)を取り付ける事ができる。これは、アメリカがベトナム戦争中に開発したM16用のM203のコンセプトを参考に開発された。



GP-25(BG-15)/GP-30



GP-25(BG-15、まれにGB-15)と、GP-30(イジェはGP-34)は、アメリカ製M203の対抗製品として開発したAK用のアンダーバレル式グレネードランチャー。



BS-1

BS-1(チシナー:静寂)は、AKS-74Uのために作られた口径30mmの発射器。専用の空砲を撃ち、その力で擲弾が飛び出す構造になっているため、発射音が小さい。



アルクス製擲弾発射器


ブルガリアのアルクス(ARCUS)では、40x46mm グレネード弾を使用するAK用の擲弾発射機を複数製造している。40A4 EGLMや40 UBGLなどがある[17]



UBGL-M6

UBGL-M6は、ブルガリアのアーセナル社が製造するM203タイプのグレネードランチャーである。40x46mm グレネード弾を使用する[18]



RGB-1

RGB-1は、クロアチアのHSプロダクト社が作った40x46mm グレネード弾を使用するグレネードランチャーである。



ZMT wz. 1974


wz. 1974 パラドは、ポーランドのZMT社が製造する。40x47mm グレネード弾を使用するグレネードランチャーである。



GPBO-40

GPBO-40は、ポーランドのデザメット(Dezamet)社が新たに設計した、40x46mm グレネード弾を使用するグレネードランチャーである。派生型として、単独使用を前提としたGSBO-40も存在する[19]



AG-40 Md80

AG-40 Md80は、ルーマニア製の40x47mm グレネード弾を使用するM203タイプのグレネードランチャーである。40x46mm グレネード弾を使用するタイプもある。






暗視装置



NSP-2

NSP-3






サプレッサー



PBS-1

AK-47用に1960年代に開発されたサプレッサー(サイレンサー)。AKMにも対応するが、AK-74には非対応である。





運用国






一例のみ紹介。紛争地帯などにおいては56式自動歩槍と混合されているものや密造品も含まれている。




  • ロシアの旗 ロシア


  • アフガニスタンの旗 アフガニスタン


  • アンゴラの旗 アンゴラ


  •  ウクライナ


  • ジョージア (国)の旗 ジョージア


  •  キューバ


  • インドの旗 インド


  •  エジプト


  • スーダンの旗 スーダン


  • 南スーダンの旗 南スーダン


  • モザンビークの旗 モザンビーク


  • ナミビアの旗 ナミビア


  • スロベニアの旗 スロベニア


  • イラクの旗 イラク


  • イランの旗 イラン


  • ジンバブエの旗 ジンバブエ


  •  リビア


  • シリアの旗 シリア


  •  ブルガリア


  •  ハンガリー


  •  ルーマニア


  • セルビアの旗 セルビア


  •  南アフリカ共和国


  • イスラエルの旗 イスラエル





日本での運用


AK-47を研究用として正規輸入品として防衛省内で運用されている。正規輸入価格は89式よりも高額だったといわれている。



特徴と逸話


AK-47は信頼性が高く、扱いが多少乱暴でも確実に動作する。これは、ミハイル・カラシニコフが設計の段階で変化に富んだソ連の気候を想定し、部品同士のクリアランスを大きめに取り、多少の泥や砂、高温または寒冷地における金属の変形、生産時の技術不足による部品精度低下が起きても、問題なく動作するよう考慮したためである。故に極寒地や砂漠地帯の兵士からも信頼が寄せられている。特に機関部は、内側に泥や砂などが入っても、軽く水洗いすれば射撃できるほどである。以下に特徴を挙げる。



ユニット化と故障の少なさ


内部の部品は極力ユニット化されており、野外で分解する際に部品を紛失したり、簡単に故障したりしないように工夫してある。このような銃の頑丈さや簡素化は同時に兵士の負担も減らす。銃を扱うのが初めての人間でも数時間から数日間の講習を受ければ、100メートル先の標的に命中させられるようになるという。


ただし、部品同士のクリアランスが大きいという事は、悪く言えば「組み合わせがタイトでない」ということの裏返しでもあり、同じく世界三大突撃銃に挙げられるG3やM16系列と比較すると、弾丸の拡散率(MOA値)は高いと言わざるを得ない。



初期の曲銃床とマズルジャンプ


マズルジャンプとは、弾丸が銃口から飛び出した瞬間に銃口が跳ね上がる現象で、射撃時の反動から生じる。この現象は通常の銃であれば程度の差はあれ必ず生じるが、初期のAK-47は曲銃床であったため、反動を直に受け止めにくく、マズルジャンプが起こりやすかった。


フルオートマチック時には連続的に反動が生じるため、銃口が連射とともに徐々に跳ね上がり、狙いを定めることが出来なくなる。同様の例はアメリカ軍に採用されたM14でも起き[20]、M14は後のM14A1で、AK-47ではAKMでいずれも直銃床に変更され、より反動を受け止めやすく、制御しやすい構造[注 3]に改良されている。



民族自決と革命の象徴





モザンビークの国旗


第二次世界大戦後、弾丸がAK-47と共通する以外は独自設計のVz 58を採用したチェコスロバキアを除くワルシャワ条約機構加盟国や中国・北朝鮮などで採用されて、東側諸国を代表する火器となった[注 4]


武力によって独立を勝ち取った国家や、政権を奪取した革命政府にとって、AKは戦乱を戦い抜いた頼もしい戦友であり、民族自決や自主独立の象徴でもある。このため、モザンビークやジンバブエ、東ティモールの国章にAK-47の図柄が組み込まれているほどである。特にモザンビークでは、国旗にもAK-47のデザインが取り入れられており、国家以外でも、レバノンのヒズボラ・コロンビアのFARCなどが、組織の旗にAK-47の図柄を取り入れている。



ベトナム戦争での活躍


ベトナム戦争では、ソビエト連邦や中華人民共和国から、北ベトナム軍(NVA)や南ベトナム解放民族戦線(NLF, ベトコン)に向けて、大量のAKが送り込まれた。戦場は熱帯雨林や沼地など過酷な環境で、AKは確実に動作した。


アメリカ海軍の特殊部隊「Navy SEALs」でも、使い物にならなくなったM16自動小銃を棄て、鹵獲品を使用する例があった。


エア・アメリカでも入手経路は不明であるが、自衛用にAKを使用する例があった。



中東やアフリカでの流通




2011年、ヨルダン川西岸地区にてイスラエル警察が押収したAKS


中東では、アメリカが1980年代にムジャーヒディーンに対し武器援助をした際、不正規品の購入に資金を与え、AK-47がこの地域に大量に出回る結果となった。


現在でも、イラク戦争における北部クルド人勢力にはロシア製装備が供与されているほか、治安部隊の装備の大部分は安価な中国製小火器であり、イランなどがイラク各地のシーア派武装勢力に供給している兵器の多くも中国製である。


アフリカ諸国においては、1960年代の独立闘争の際、ソ連や中国の兵器供与を得たが、特にソマリアではバーレ政権崩壊で軍隊から大量の武器が武装勢力など民間に流れ、またリベリアやシエラレオネなど西アフリカでは冷戦終結後の1990年代、リビアの政略によりユーゴスラビアやルーマニアといった東欧諸国などから流入した兵器が親リビア勢力に供与された。これらのAKがあふれた状況は、内戦の終結を難しくしている一因となっている。


現在、アフガニスタンやイラクで活動している特殊部隊や民間軍事会社(PMSCs)の社員には、M16系ではなく7.62mm口径のAKを使う者も多い。これは、信頼性のみならず、7.62mm口径の高威力や、弾薬と部品補給が容易だからでもある。特にPMSCsは軍に比べ部品供給が遅いため、故障・破損しても即座に修理・代替できるAKの人気は高い。



大量破壊兵器の象徴


ソビエト連邦は冷戦期、東側友好国に対して大量のAKを供与した。また、一部の国々に対してはライセンス生産も認めた。このため、7.62mm口径のAKは莫大な数が生産されており、世界で最も大量に生産された小銃といわれている。


金属材料の質や熱処理、加工精度・表面処理が多少悪くても実戦で使用できる品質のものが製造できてしまうため、発展途上国においては海賊版が多数出回っている。アムネスティ・インターナショナルなどの団体によるコントロール・アームズ・キャンペーンは、生産設備が拡散している為に、世界中で不正な武器商人や武装民兵、犯罪者がAK-47を容易に、大量破壊兵器として紛争や貧困を助長していると指摘している。


コントロール・アームズが、2006年に発表した報告書『The AK-47: the world's favourite killing machineAK-47:世界最強の殺人マシーン)』によれば、世界中で約5~7,000,000丁ほどのAK-47が流通しているという[21][22]。同報告書は、これらのAKが多数の武装勢力による紛争、テロリストなどに使用され、発展途上国で多大な被害をもたらしているとしている。


また、開発者ミハイル・カラシニコフ自身も、この様な使用は本意ではなく、「コントロール・アームズ」キャンペーンに寄せた声明の中で、「武器の売買に関する国際的な規制が欠如しているため、小型武器は容易に世界に拡散し、国防のためだけでなく、侵略者やテロリストなど、あらゆる犯罪者に使用されている。私は、テレビで犯罪者がカラシニコフを手にしているのを見る時、どうやって彼らはこの武器を手にしたのだろうかと、自らに問い続けている」と述べている[22]。カラシニコフはAK-47をあくまでも国防の為に設計したのであり、犯罪や紛争に使われている現状をしばしば憂いていた[23]


2004年、85歳の誕生日を前にカラシニコフは「中華人民共和国などがライセンス切れにもかかわらず、AK製造を続けている。それが紛争地に出回り、AKの評価を落としているのは悲しいことだ」と、朝日新聞社の取材に述べている[24]



模造品の氾濫




コロンビアで押収されたAK。その殆どが中国製である。


テロリストや傭兵(非戦闘員)が使用しているのは、ほとんどがAK-47の非正規・コピー品である。中華人民共和国の中国北方工業公司は、ライセンス切れのため、改造箇所を根拠に自社製品としてAK系を製造し続け、中には民間向けのスポーツ射撃用のものまである。


2006年の時点で、AKの製造ライセンスを持つのは、カラシニコフが籍を置く後述のイズマッシュ社のみだが、過去にAKのライセンス生産を行っていた国々の大半は製造を継続しており、輸出もしている。さらに、AKは構造が単純で、部品の誤差を許容する設計から密造品も多く、これら不正規品を含めたAKの総数は、1億丁を超えるのではないかと推測されているが、正確な生産規模は把握されていない。


日本においても、オウム真理教が発展型であるAK-74を基に銃密造を企てた(自動小銃密造事件)ことが発覚したが、外観とは別に、銃身内径を正確に切削できず、発射に危険が伴う水準のもので、警察の追及もあって、量産には至らなかった。


イズマッシュ社のウラジミル・グロデツキーは、2006年の製品発表会で「ロシア製のAKは世界全体に流通しているうちの12%程度」と発言している。


パキスタンの連邦直轄部族地域に在るダッラ村では、旋盤などの簡単な工作機械しか持たない「村の鍛冶屋」のような工房で製造されているが、正規品と異なる材質の鋼材を用い熱処理・表面処理も不充分なため耐久性に難があり、連射で銃身が加熱すると溶けはじめる水準の製品である。元傭兵の高部正樹は、ルーマニア製AKM(AIM)は弾倉着脱に難があり、また、何弾倉分か連射すると銃身が曲がってくるなど酷評されていたと語っている。



アメリカ合衆国における流通


信頼性の高さが伝説級ということもあり、アメリカ合衆国でも根強い需要があり、広く流通している。


アメリカの民生市場での流通は、1980年代にエジプト製ARMが輸入されたのが最初とされ、その後は中国製、ユーゴスラビア製のAKが輸入された。やがて中国製銃器輸入は規制されたが、冷戦終結に伴い東欧製AKが大量に輸入され、以後はロシア製を含む、世界各国で製造されたAKが流通することとなった[25]


1995年には、アメリカ合衆国連邦政府がAKをアサルト・ウエポン規制法(殺傷能力の高い銃規制の時限立法)の対象とし、アメリカ国内において販売が禁止されたものの、2004年に時限法が失効したため、再び販売が再開された(詳細は、アメリカ合衆国の銃規制を参照のこと)。


2010年、フロリダ州の自動車販売店では、トラック1台につきAK-47の引換券を付けて販売したところ、大きく売り上げを伸ばした事により話題となった[26]


2014年のウクライナ騒乱、ロシアのクリミア侵攻に端を欲する対ロシア経済制裁では、カラシニコフ関連製品の輸入規制も含まれることとなったため、各地の銃砲店で駆け込み需要が生じて、AKの在庫が払底する騒ぎとなった[27]



脚注


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  1. ^ ソ連を初めとする東側諸国では、過酷な環境下においても確実に銃弾を発射できるよう銃用雷管の点火薬に雷酸水銀を用いているが、雷酸水銀は燃焼時に強腐食性のガスを発生させる。


  2. ^ これらの3種類の銃には、5.56mm NATO弾仕様のモデルも存在する


  3. ^ AKMは銃口先端を斜めに切ったマズルブレーキで銃口の跳ね上がりを軽減している。


  4. ^ 旧東側に近いとされた非同盟諸国においても、リビアやインドではFN FALが、ミャンマー(ビルマ)ではH&K G3が採用されるなど、AK-47系統を主力小銃としなかった国も少数ではあるが存在する。また、反政府ゲリラにおいても、ミャンマーのカレン民族解放軍、レバノンのレバノン軍団、フィリピンの新人民軍のようにM16を使用しているケースもある。これらはAK47よりもM16の方が入手が容易である事が主な理由となっている


出典




  1. ^ “10 things you never knew about AK47 Kalashnikov rifle that has killed more people than any other gun”. デイリー・ミラー. 2016年9月29日閲覧。。"7. The Kalashnikov rifle is in the “Guinness Book of Records” as the most common weapon in the world. Currently, there are about 100 million AK. This means that 60 adult inhabitants of our planet have on one machine."


  2. ^ ホビージャパン 2014, p. 63-65.


  3. ^ ホビージャパン 2014, p. 66.


  4. ^ “Biography”. M.T. Kalashnikov Museum and Exhibition Small Arms Complex. 2015年4月28日閲覧。

  5. ^ abホビージャパン『カラシニコフ・ライフルとロシア軍の銃器たち』70頁、カラシニコフ本人による証言


  6. ^ 開発者のカラシニコフは『アームズマガジン』の紙面で、アメリカからの援助兵器であるM1カービンから着想を得たと語っている


  7. ^ ホビージャパン 2014, p. 10-12.


  8. ^ ホビージャパン 2014, p. 12.


  9. ^ ホビージャパン 2014, p. 12-13.


  10. ^ ホビージャパン『カラシニコフ・ライフルとロシア軍の銃器たち』94-95頁


  11. ^ 撃つためのデザイン「AK-47」(2005年ヒストリーチャンネル製作・放映、原題:Tales of the Gun)


  12. ^ ホビージャパン『カラシニコフ・ライフルとロシア軍の銃器たち』96頁


  13. ^ ホビージャパン 2014, p. 14-16.

  14. ^ abcdホビージャパン『カラシニコフ・ライフルとロシア軍の銃器たち』10-11頁


  15. ^ ホビージャパン『カラシニコフ・ライフルとロシア軍の銃器たち』97頁


  16. ^ Зампред ВПК: Минобороны вооружится и АК-12, и автоматом Дегтярева


  17. ^ “ARCUS Co. - Products”. 2015年4月8日閲覧。


  18. ^ “40x46mm ARSENAL Underbarrel Grenade Launcher - UBGL-M6”. 2015年4月8日閲覧。


  19. ^ 40mm granatniki jednostrzałowe”. 2015年4月8日閲覧。


  20. ^ 津野瀬光男 『幻の自動小銃―六四式小銃のすべて』 光人社〈光人社NF文庫〉、2006年


  21. ^ The AK-47: the world's favourite killing machine (PDF)”. controlarms.org (2006年6月26日). 2011年10月12日閲覧。

  22. ^ ab“AK-47:世界で最も野放しになっている武器” (2006年6月27日). 2015年4月8日閲覧。


  23. ^ “カラシニコフ氏が死去 自動小銃「AK47」を開発”. 朝日新聞 (朝日新聞社). http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312230324.html 2015年4月9日閲覧。 


  24. ^ “「紛争地に自分の銃、悲しい」自動小銃AK47の開発者”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2004年11月21日). オリジナルの2004年11月23日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20041123033642/http://www.asahi.com/international/update/1121/002.html 2015年4月9日閲覧。 


  25. ^ ホビージャパン 2014, p. 28.


  26. ^ “車のおまけは自動小銃?米自動車店が仰天キャンペーン”. AFPBBNews (フランス通信社). (2010年11月16日). http://www.afpbb.com/articles/-/2775466?pid=6469878 2014年7月20日閲覧。 


  27. ^ “米国でAK-47の売り上げ増加、ロシア制裁で駆け込みか”. CNN (CNN). (2014年7月19日). http://www.cnn.co.jp/usa/35051118.html?tag=top;topStories 2014年7月20日閲覧。 






参考文献



  • 松本仁一 『カラシニコフ』 朝日新聞社 2004年7月16日 ISBN 978-4-02-257929-4

上記単行本を文庫化『カラシニコフ I』 朝日新聞出版〈朝日文庫〉 2008年7月4日 ISBN 978-4-02-261574-9

  • 松本仁一 『カラシニコフ II』 朝日新聞社 2006年5月3日 ISBN 978-4-02-250165-3

上記単行本を文庫化『カラシニコフ II』 朝日新聞出版〈朝日文庫〉 2008年7月4日 ISBN 978-4-02-261575-6



  • エレナ・ジョリー(聞き書き) 『カラシニコフ自伝 世界一有名な銃を創った男』山本知子訳 朝日新聞出版〈朝日新書106〉 2008年4月11日 ISBN 978-4-02-273206-4、245頁。


  • 床井雅美 『AK-47&カラシニコフ・バリエーション』 大日本絵画 1991年12月 ISBN 978-4-499-20582-5


  • マイケル・ホッジス 『カラシニコフ銃AK47の歴史』戸田裕之訳 河出書房新社 2009年6月30日 ISBN 978-4-309-22510-4


  • ホビージャパン『カラシニコフ・ライフルとロシア軍の銃器たち』

  • 『AKライフルの軌跡 追悼 ミハエル・カラシニコフ』 ホビージャパン、2014年。ISBN 9784798607702。





関連項目



  • 小銃

  • アサルトライフル

  • 自動小銃

  • 銃の部品

  • アンドレイ・キリレンコ

  • モザンビークの国章

  • SKSカービン

  • Vz 58


  • アーマライトAR-18

  • M16自動小銃


AK-47の基本構造をもとにしたソ連・ロシア製の銃


  • RPK軽機関銃

  • PK汎用機関銃

  • ドラグノフ狙撃銃

  • AK-74

  • 80.002

  • AO-38

  • AO-46

  • AO-62

  • AO-63

  • AO-222

  • AN-94

  • イズマッシュ・サイガ12

  • PP-19 Bizon





外部リンク







  • Izhmash社

  • The AK site. Kalashnikov Home Page


  • AK-47 Museum virtual tour

  • The GP25 underbarrel grenade launcher

  • Nazarian's Gun's Recognition Guide (English)


  • AK-47 Assault Rifle, Operator's Manual - 1960年代にアメリカ陸軍が作成した資料。





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