地方法人特別税
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地方法人特別税(ちほうほうじんとくべつぜい)は、道府県(および都)が課す法人事業税が都道府県ごとの偏在性が強いことから、2008年10月1日から、税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の暫定措置として設けられた税である。従来の法人事業税の一部を国税として徴収し、人口及び従業員数(2分の1ずつ)を基礎として国が都道府県に財源を再分配する。これにより、地域間で財政力に格差があるのを縮小することを目的としている。
平成31年(2019年)10月1日開始事業年度より、消費税率引き上げに合わせて廃止予定で、法人事業税に復元される[1](当初平成29年4月1日以後開始事業年度の予定であったが延期された)。
似た言葉で、「地方特別法人税」はよくある誤記。
「特別法人税」は、企業年金の積立金に対し、法人税法上課税される税金(2020年3月31日まで凍結中)[2]。
「復興特別税」は、東日本大震災からの復興のための税金(そのうち復興特別法人税は、2015年 (平成26年) 3月末で廃止済)。
目次
1 運用
2 申告時の計算方法
3 税率
4 脚注
運用
地方法人特別税は国税のひとつではあるが、都道府県が法人事業税とともに徴収する。
国税通則法の適用が無く、国税徴収法上も地方税扱いとなされるなど、制度の運用は地方事業税とほぼ同じ取扱いである。
申告時の計算方法
租税公課等のうち、法人税の所得の計算上損金の額に算入しないものは、法人税法第38条に列挙されているが、地方法人特別税はこの中に含まれていないことから、損金の額に算入される。
具体的な処理としては、法人税申告書の別表五(二)「租税公課の納付状況等に関する明細書」の「事業税」欄に、地方法人特別税との合算額を記載する[3]。
税率
平成26年10月1日以後に開始する事業年度から、地方法人特別税の規模が縮小され法人事業税に復元されることに伴い、税率が改正されている。
- 平成20年10月1日から平成26年9月30日までに開始する事業年度
- (a) 外形標準課税法人
──基準法人所得割額の 148%
- (b) 外形標準課税法人以外の所得割額によって法人事業税が課される法人
──基準法人額(下の、なお書き参照)の 81%
- (c) 収入割額によって法人の事業税を課される法人
──基準法人収入割額(下の、なお書き参照)の 81%
- 平成26年10月1日から平成27年3月31日までに開始する事業年度
- (a) 外形標準課税法人
──基準法人所得割額の 67.40%
- (b) 外形標準課税法人以外の所得割額によって法人事業税が課される法人
──基準法人所得割額の 43.20%
- (c) 収入割額によって法人の事業税を課される法人
──基準法人収入割額の 43.20%
- 平成27年4月1日から平成28年3月31日までに開始する事業年度
- (a) 外形標準課税法人
──基準法人所得割額の 93.50%
- (b) 外形標準課税法人以外の所得割額によって法人事業税が課される法人
──基準法人所得割額の 43.20%
- (c) 収入割額によって法人の事業税を課される法人
──基準法人収入割額の 43.20%
- 平成28年4月1日から平成31年9月30日[4]までに開始する事業年度
- (a) 外形標準課税法人
──基準法人所得割額の 414.20%
- (b) 外形標準課税法人以外の所得割額によって法人事業税が課される法人
──基準法人所得割額の 43.20%
- (c) 収入割額によって法人の事業税を課される法人
──基準法人収入割額の 43.20%
- 平成31年10月1日以降に開始する事業年度
- (廃止の予定)
※ なお、基準法人所得割額及び基準法人収入割額は、地方自治体による課税のために定められている標準税率によって計算する。
脚注
^ 消費税率引上げ時期の変更に伴う 法人事業税・法人都民税に係る税率改正の施行日の変更について
^ “特別法人税”. 企業年金連合会. (2018年8月17日). https://www.pfa.or.jp/yogoshu/to/to17.html 2018年9月27日閲覧。
^ <税金の種類><地方法人特別税> | 東京都主税局
^ <税金の種類><地方法人特別税> | 東京都主税局