シンカー・スクリューボール




シンカー (英: sinker) 或いはスクリューボール (英: screwball) は、野球における球種の一つで、投手の利き腕方向に曲がりながら落ちる球種である。スクリューボールは略してスクリューと呼ばれる事も多い。




目次






  • 1 シンカーとスクリューボールの違い


    • 1.1 海外での定義




  • 2 解説


  • 3 歴史


  • 4 関連項目


  • 5 脚注


    • 5.1 注釈


    • 5.2 出典




  • 6 参考文献





シンカーとスクリューボールの違い


シンカーは直球の軌道から曲がり落ちる。スクリューボールは逆方向のカーブのような軌道で、浮き上がってから落ちる。これは日本のプロ野球選手の間でよく用いられる定義であり、大野豊・山本昌・石川雅規の様に、同じ投手がシンカーとスクリューを投げ分ける場合もある。


スクリューボールは左投手が投げるシンカーだとする定義も存在するが、スクリューボール開発者のルーブ・フォスターとクリスティ・マシューソンは共に右投手であるため現実に則していない(さらに、同じ軌道の球種であれば、左投手が投げる場合だけ名前を変える必然性もない)。しかし、スクリューボールの使い手に左投手が多いこともあってこの様な認識が生まれ、ゲーム『実況パワフルプロ野球』の設定にも反映されたため、世間に広まったとみられている。



海外での定義


日本で言う「シンカー」「スクリューボール」はどちらも、メジャーリーグや中南米ではスクリューボール(英: screwball)に該当し、広い意味でのチェンジアップ(英: change up)に分類されることもある(球種としてのチェンジアップとは異なる)[1][注釈 1]。また、メジャーリーグや中南米におけるシンカー(英: sinker)はシンキング・ファストボール(英: sinking fastball)の略称であり、ツーシーム・ファストボールやワンシーム・ファストボールの中で、特に沈む軌道のものを指す[2]



解説




シンカー(スクリュー)の握りの例




シンカー(スクリュー)の握りの例




シンカー(スクリュー)の握りの例


握り方は様々なバリエーションがある。人差し指と中指を揃えてボールを握ったり、中指と薬指でボールを弾きながら手首を外側に捻ったり、中指と薬指の間から抜くように投げたりする、などが挙げられる。


ボールに回転を与える動作の制約からサイドスロー・アンダースローの投手がこの変化球を使うことが多い。打者側へ曲がり落とすことで、ゴロを狙える球でもある[2]。オーバースローやスリー・クォーターの場合は腕に負担がかかるため、右打者対策を強いられる左投手が使用するくらいである(右打者から逃げていく軌道のため)。ただし近年では左打者の数が増えてきているため、左投手でも使い手は減少傾向にある。


1人の投手が縦横・大小複数のシンカーを投げ分けることもあり、潮崎哲也は緩急2種類のシンカーを投げたが、遅いシンカーは浮き上がってから落ちる逆方向のカーブのような軌道だった。これはスクリューと呼ぶこともできるが、呼び方は投手によって様々で、潮崎は遅いシンカーと呼んでいた。中には内海哲也のように、チェンジアップと呼ばれていた変化球を自らスクリューと呼ぶようになる選手もいる[3]。山田久志は自らのシンカーをスプリット系と語り、速い球速で鋭く落ちたという。この様なシンカーは高速シンカーとも呼ばれる。


MLBではペドロ・マルティネスやジェイミー・モイヤーの投げるチェンジアップはシンカーのような軌道で変化することからシンカーチェンジ(英: sinker change)やチェンジアップシンカー(英: change up sinker)とも呼ばれ、ロベルト・ヘルナンデスやジョニー・ベンタースの投げる球速100mph(約161km/h)近いシンキング・ファストボールがハードシンカー(英: hard sinker)と呼ばれる。


日本球界では潮崎哲也や高津臣吾、攝津正のシンカー、山本昌のスクリューが特に有名である。日本に在籍した外国人投手ではキース・カムストックがスクリューを投げていた。MLBではカール・ハッベルやウォーレン・スパーン、フェルナンド・バレンズエラがスクリューボールの代表的な使い手だったが、近年はヘクター・サンティアゴやトレバー・バウアー、ダラス・ブレイデンなどスクリューボールの使い手は数少ない。



歴史




クリスティ・マシューソン


1900年代にルーブ・フォスターが投げていたフェイドアウェイという変化球がスクリューボールの原型であるとされる。その後、フェイドアウェイは1910年代にクリスティ・マシューソンに受け継がれた。1920年代にはカール・ハッベルがスクリューボールを駆使して活躍した。


1950年代にはカート・シモンズ(英語版)が初めてホップする速球(フォーシーム・ファストボール)と沈む速球(シンカー、シンキングファストボール)を投げ分ける事に成功した[2]


1990年代中盤までスクリュー・シンカーはポピュラーな球種だったが、スプリットフィンガードファストボール同様に腕への負担が大きく、チェンジアップにとって替わられ、投げる投手は減少傾向にある。スクリューやシンカーを封印してチェンジアップ等の球種に切り替えた代表的な選手にはトム・グラビン、ダルビッシュ有らがいる。



関連項目


  • スクリューボール・コメディ


脚注


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注釈





  1. ^ メジャーでプレーした高津臣吾と高橋尚成のシンカーはチェンジアップと呼ばれ、2013年のWBCに出場した攝津正のシンカーもPITCHf/xの測定ではチェンジアップに分類された。一方で村上雅則のシンカーはスクリューボールと認識された。建山義紀のシンカーはそのままシンカーとされており、球速が関係しているものと思われる。




出典





  1. ^ 友成那智、村上雅則 『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2005』 廣済堂出版、2005年、8頁。ISBN 4-331-51093-X。

  2. ^ abcWalsh, John In Search of the Sinker
    Neyer Rob, James Bill "The Neyer/James Guide to Pitchers", Simon & Schuster, 2004. ISBN 0-7432-6158-5
    「メジャー・リーグ 変化球バイブル」ベースボールマガジン社



  3. ^ 【巨人】内海「スクリュー」と呼んで日刊スポーツ、2012年9月24日




参考文献


  • 『変化球バイブル[理論&実践編]』 ベースボール・マガジン社 ISBN 9784583100012








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