スターリング・ポンド




スターリング・ポンド[1](英: pound sterling)は、イギリスの通貨。


通貨単位としてのポンドは、本国を旧宗主国とするイギリス連邦諸国で用いられ、エジプトなどでは現在も用いられているが、単にポンドというと通常イギリスのポンドのことを示す。


通貨記号は £、国際通貨コード (ISO 4217) は、GBPであるが、STGとも略記する。


呼称としてはポンド、スターリングの他に quid が用いられることがある。日本ではイギリス・ポンド、または英ポンド(えいポンド)と呼ばれることも多い。




目次






  • 1 概要


  • 2 発券銀行


  • 3 紙幣


  • 4 硬貨


  • 5 過去のポンド


  • 6 外国為替証拠金取引 (FX) における位置付け


  • 7 為替レート


  • 8 外貨準備


  • 9 脚注


  • 10 関連項目


  • 11 外部リンク





概要


補助単位はペニー(penny、複数形ペンス pence)で、1971年より1ポンドは100ペンスである(下記「過去のポンド参照」)。


USドルが世界的に決済通貨として使われるようになる以前は、大英帝国の経済力を背景に、国際的な決済通貨として使われた。イギリスの欧州連合加盟に伴い、ヨーロッパ共通通貨であるユーロにイギリスが参加するかどうかが焦点となったが、イギリス国内に反対が多く、通貨統合は見送られた。


現在は対日本円で変動相場制を採用している。以前の固定相場制の頃は当初1ポンド1008円(1949年 - 1967年)、後に864円(1967年 - 1971年)だった。


なお2007年1月下旬に1ポンドが日本241円40銭だったが、2007年3月2日には226円95銭と1ポンドあたり約14円も下落しているように、為替変動の幅の大きい通貨である。2007年6月は約240円 - 246円で推移し、7月に入ってからは一時251円に達した。その後サブプライムローンショックによる影響も大きく、徐々に下落して2008年3月17日には192円台を記録。ポンド安が落ち着いた所へ9月からの世界同時金融危機により徐々に大きく落ち込み、2008年10月に一時138円台にまで落ち込んだ。


さらに2009年1月23日 (GMT) には、1995年4月の史上最安値を14年ぶりに更新し、初めて118円台に突入。18ヶ月でポンド/円レートが133円、半値以下まで下落した事になる。2016年のイギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票で、離脱派が多数になったことから、ポンドと自国通貨との両替を取りやめた箇所が多発した。



発券銀行


イングランド銀行が発券するポンド通貨は、イングランド及びウェールズにおける法定通貨である。ただし、スコットランドの商業銀行であるスコットランド銀行、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド、クライズデール銀行も歴史的に発券を認められており、法定通貨ではないがスコットランドでも流通を承認されている。また北アイルランドのアイルランド銀行などの商業銀行も発券しており、事実上、連合王国を構成する4王国の全領域で通用する。さらにマン島、チャンネル諸島、ジブラルタル、フォークランド諸島でも独自にポンド通貨を発券している。これらはイングランドやウェールズでは法定通貨とは認められないが、非合法なものではない。



紙幣



イングランド銀行の発券する紙幣は、現在1、2ポンドが硬貨として発行されているので、市中に流通しているのは5ポンド、10ポンド、20ポンド、50ポンドの4種類だけである。全てイギリス国家元首である「エリザベス女王」が表面に印刷されている。


現在の紙幣は2005年7月に発行された「シリーズE」。裏面に歴史上の人物が描かれている。



  • 5ポンド(ターコイズ・ブルー): エリザベス・フライ(Elizabeth Fry、監獄改革を行った社会活動家)、囚人に朗読をする光景

  • 10ポンド(橙): チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin、進化論を提唱した自然科学者)、ハチドリと花と拡大鏡、ビーグル号

  • 20ポンド(紫): エドワード・エルガー(Edward Elgar、作曲家)、彼にとってゆかりの深いウースター大聖堂 (Worcester Cathedral) 2007年から発行された「シリーズF」ではアダム・スミス

  • 50ポンド(赤): ジョン・フーブロン(John Houblon、イングランド銀行創始者・初代総裁)、スレッドニードル街(Threadneedle Street、現イングランド銀行所在地)の彼の邸宅。2011年11月から発行された「シリーズF」では、ジェームズ・ワット、マシュー・ボールトン。

  • 超高額紙幣として、銀行内のみ(イングランド銀行発、アイルランド銀行やスコットランド銀行行き)で使用される1億ポンド紙幣が存在する[2]。用途は主として銀行券発行力証明。



硬貨




現在の1ポンド硬貨


王立造幣局 (Royal Mint) にて発行されている硬貨は、1ペニー・2・5・10・20・50ペンス、1・2ポンドの8種類である。2008年より2ポンド硬貨を除いた7種類を、統合的にデザインしたものに一括変更する旨が発表され、2008年夏から順次流通する。英国の紋章を各硬貨ごとに分けて描き、それを並べると一枚の画像となるようにデザインされている。1ポンドコインにはその全体像が描かれる。


裏面のデザインは硬貨毎に違っており、2007年までの発行分は下記の通り。



  • 1ペニー(表面: 銅、内部: 鉄): 城門落とし格子紋章

  • 2ペンス(表面: 銅、内部: 鉄): プリンス・オブ・ウェールズの羽根徽章

  • 5ペンス(白銅貨、2012年1月からは表面: ニッケル、内部: 鉄): アザミ冠紋章(スコットランドの国花)

  • 10ペンス(白銅貨、2011年からは表面: ニッケル、内部: 鉄): 冠を頂くライオン(このライオンはイングランド王家の紋章 (Crest) である)

  • 20ペンス(白銅貨): 珍しい七角形硬貨。冠を頂くテューダー・ローズ(テューダー朝のバラ)。

  • 50ペンス(白銅貨): 珍しい七角形硬貨。ブリタニア(大英帝国を象徴する女神)とライオン。

  • 1ポンド(ニッケル黄銅貨): 発行年ごとにデザインは変更され、連合王国の紋章と、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドをそれぞれ代表する意匠が順に使われてきた。

    • (例)国花=イングランドのバラ、スコットランドのアザミ、ウェールズのリーク、北アイルランドの麻。王家の紋章=イングランドの「三頭のライオン」、スコットランドのライオン、ウェールズのドラゴン、北アイルランドのケルト十字。2004年 - 2007年はこの4カ国の橋が使われた。

    • 2017年3月28日から流通しているポンド貨幣では初めて12角形が採用され、一面にエリザベス女王の肖像、もう一面には王冠とともにイングランドのバラ、スコットランドのアザミ、ウェールズのリーキ、北アイルランドのシャムロックがデザインされている[3]



  • 2ポンド(内側: 白銅、外側: ニッケル黄銅貨): 1997年に登場した最も新しい硬貨で、縁にはアイザック・ニュートンの言葉「巨人達の肩の上に立って (STANDING ON THE SHOULDERS OF GIANTS)」と刻印されている。また毎年その年の記念行事などを描いた記念デザインのものが発行されて通常版と同様に一般に流通する。


すべての硬貨の表面には、国家元首エリザベス2世と称号のラテン語訳、『神の恩寵による(英語版)女王、信仰の守護者、エリザベス二世』(DEI.GRA.REG. FID.DEF 又は D.G.R F.D. 正確なラテン語は Dei Gratia Regina Fidei Defensor)と刻印されている。


なお、この他に旧通貨システムによるクラウン銀貨やソブリン金貨、それにマンデーマネーと呼ばれる、1ペニーから4ペンスまでの4枚硬貨セットが発行される場合があるが、いずれも流通用ではなく、コレクター向けのアイテムである。また、デシマル制度実施直後には1/2ペニーの小さな銅貨(裏は王冠)も流通していた。



過去のポンド


従来は1ポンド=20シリング=240ペンスであったが、計算上混乱するため、1971年2月13日に1ポンド=100ペンスに切り替えられた。イギリスとアイルランドで通貨補助単位の変更を行ったこの日を「デシマル・デー」(Decimal Day, 十進法の日)と呼んでいる。


古い補助貨幣はこのほか、クラウン (crown)、フローリン (florin)、グロート (groat)、ギニー (guinea) がある。1クラウン=5シリング、1フローリン=2シリング、1グロート=4ペンス、1ギニー=21シリングに相当した。イギリスでは、1817年にソブリン金貨が本位金貨として鋳造され、この金貨を1ポンドに流通させ、自由鋳造、自由融解を認める唯一の無制限法貨としたが、ギニー金貨も引き続き流通することになり、この時価値が21シリングと定められた。因みに1ポンドは前述の通り20シリングであった。第一次世界大戦後にアメリカ合衆国ドルに取って代わられるまで、世界で最も信用の高い国際通貨であった。


通貨名は、古代の銀貨の質量に由来する。8世紀にマーシアのオッファ(en:Offa of Mercia)がフランク王国のリーブル貨幣にならって1ペニー(1ポンドの1/240)の銀を含む銀貨を鋳造したのをはじめとする。ただし当時の1ポンドは現在の1ポンドとは質量が異なる。


ポンドを表す記号 £ は、1ポンドにあたるラテン語「libra(リーブラ、もと「天秤」「はかり」の意)」の頭文字に由来する。


スターリングシルバーという言葉が使われるが、これはイギリスの銀貨と同じ品位の銀(銀含有量92.5%)を表す言葉である。



外国為替証拠金取引 (FX) における位置付け








イギリスポンド-アメリカドルにおける1分毎の値動きの例
(2013年9月8日, DMM FX チャート)


FXの相場においては、相場の進展の早さと価格の変動幅の大きさと不規則な値動きで有名である。


ポンドは、輸出入による実体経済の為替需要が少なく、取引の殆どは投機資金であり、貨幣の流通量が少ないために価値が変動しやすく、ポンドの通貨ペアは何れも一攫千金を狙うトレーダーの激戦区となっている。この相場で生き残ることは難しく、1日で破産にまで追い込まれるケースが多々あることから、ポンドは別名「殺人通貨」(あるいは「悪魔の通貨」)とも呼ばれる。


資金力のあるトレーダーによる意図的な価格操作により、テクニカル指標自体を無効にするような突発的な値動きが頻発するため、予想を外した場合に行う損切りを素早く確実に行える「熟練者向けの通貨」であると言われている。


実際の取り引きにおいては、テクニカル指標からは予測できないようなトレンドが突然発生し、天井からさらに上に抜ける、底値からさらに下に落ちるといった、売買タイミングの判断ミスを誘うような値動きに見える。また、直近数日間の最安価格を付けてから直近数日間の最高価格まで数分で駆け上がるような値動きもある。このような意表を突いた値動きが多く、とても不規則な値動きをするため、ギャンブル性は高い。平時の米ドル - 円価格の変動幅は多くても1日に1円程度だが、ポンド - 円のそれは急激で、1日に2 - 3円程度動く事も珍しくなく、イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票など大きなイベントが起こった際の変動幅も大きい。


基本的に値動きの不規則性が強いが、ポンド円はドル円を介して価格が計算されるため、ドル円の値動きとある程度相関がある(ポンド円のチャートは、ドル円のチャートに対してランダムなノイズを付加し、振幅を約2倍程度まで増幅したような波形になる)。


このように、トレードを目的とした場合には、通貨保持のリスクが大きいため、基本戦略は短期取引(スキャルピング、デイトレード)になる。損切りさえ徹底出来れば、他の通貨よりも短期で大きなリターンが期待できるため、熟練者の中には、好んでポンドの取り引きを行う者もいる。



為替レート
















対ドル[4]


対円[4]

対ドル[4]



対円[4]





























現在のGBPの為替レート

Google Finance:

AUD CAD CHF EUR HKD JPY USD

Yahoo! Finance:

AUD CAD CHF EUR HKD JPY USD

XE:

AUD CAD CHF EUR HKD JPY USD

OANDA:

AUD CAD CHF EUR HKD JPY USD

fxtop.com:

AUD CAD CHF EUR HKD JPY USD


外貨準備


スターリング・ポンドは世界各国において外貨準備として用いられている。
各国主要通貨との比率推移は以下の通りである。











































































































































































































































































脚注




  1. ^ 「出納官吏事務規程第14条及び第16条に規定する外国貨幣換算率を定める等の件」


  2. ^ “Security by Design - A closer look at Bank of England notes”. 2012年12月31日閲覧。


  3. ^ “英国、新1ポンド硬貨が流通開始へ” (日本語). AFP. (2017年3月28日). http://www.afpbb.com/articles/-/3123071 2017年3月30日閲覧。 

  4. ^ abニューヨーク連邦準備銀行のForeign Exchange Rates Historical Searchを元にした。


  5. ^ (PDF) Review of the International Role of the Euro, Frankfurt am Main: 欧州中央銀行, (December 2005), ISSN 1725-2210, http://www.ecb.int/pub/pdf/other/euro-international-role200512en.pdf ; ISSN 1725-6593 (online).


  6. ^ 1995–99, 2006–12: “Currency Composition of Official Foreign Exchange Reserves (COFER) (PDF)”. Washington, DC: 国際通貨基金 (2013年1月3日). 2015年1月18日閲覧。


  7. ^ 1999–2005: International Relations Committee Task Force on Accumulation of Foreign Reserves (February 2006) (PDF), The Accumulation of Foreign Reserves, Occasional Paper Series, Nr. 43, Frankfurt am Main: 欧州中央銀行, ISSN 1607-1484, http://www.ecb.int/pub/pdf/scpops/ecbocp43.pdf ; ISSN 1725-6534 (online).



関連項目



  • 為替

  • 為替レート

  • 現行通貨の一覧

  • ポンド危機

  • イギリスの紙幣と硬貨の一覧

  • 国際通貨



外部リンク




  • 1792年以降のイギリスポンドとアメリカドル間の為替レート (ロシア語)


  • 王立造幣局 (Royal Mint) (英語)




  • イギリスの銀行券 (英語)(ドイツ語)


  • イギリスの銀行券 (スコットランド) (英語)(ドイツ語)


  • イギリスの銀行券 (北アイルランド) (英語)(ドイツ語)









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